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ムンプス感染を契機に発症し,15年間診断に苦慮された辺縁系脳炎の1例
著者: 原田聰志1 福田貴博1 前上里泰史1 東川上浩之1 村上優1 高橋幸利2
所属機関: 1国立病院機構琉球病院 2国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター
ページ範囲:P.887 - P.890
文献購入ページに移動辺縁系脳炎とは,大脳辺縁系を冒す脳炎であり,原因から感染性脳炎(一次性脳炎)と自己免疫性辺縁系脳炎(二次性脳炎)に大別される。2003年に木村ら4)が,精神症状で発症し,比較的若年女性を冒し,画像所見に乏しい急性可逆性辺縁系脳炎として非ヘルペス性急性可逆性辺縁系脳炎(ARLE;acute reversible limbic encephalitis)の4例を報告。後にこれらの例に抗グルタミン酸受容体ε2(GluRε2)抗体が見出され,そのような例を自己抗体介在性急性可逆性辺縁系脳炎(AMEDARLE)と呼んだ5)。そして,近年抗NMDA抗体1),抗VGKC抗体が指摘され,さらにこれらの例の一部に卵巣奇形腫や胸腺腫が見つかるようになり,自己免疫のかかわりがクローズアップされてきている。今回我々はムンプス感染を契機に発症し,15年間診断に苦慮された辺縁系脳炎を経験したので報告する。
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