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文献詳細

雑誌文献

精神医学53巻9号

2011年09月発行

文献概要

短報

ムンプス感染を契機に発症し,15年間診断に苦慮された辺縁系脳炎の1例

著者: 原田聰志1 福田貴博1 前上里泰史1 東川上浩之1 村上優1 高橋幸利2

所属機関: 1国立病院機構琉球病院 2国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター

ページ範囲:P.887 - P.890

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はじめに

 辺縁系脳炎とは,大脳辺縁系を冒す脳炎であり,原因から感染性脳炎(一次性脳炎)と自己免疫性辺縁系脳炎(二次性脳炎)に大別される。2003年に木村ら4)が,精神症状で発症し,比較的若年女性を冒し,画像所見に乏しい急性可逆性辺縁系脳炎として非ヘルペス性急性可逆性辺縁系脳炎(ARLE;acute reversible limbic encephalitis)の4例を報告。後にこれらの例に抗グルタミン酸受容体ε2(GluRε2)抗体が見出され,そのような例を自己抗体介在性急性可逆性辺縁系脳炎(AMEDARLE)と呼んだ5)。そして,近年抗NMDA抗体1),抗VGKC抗体が指摘され,さらにこれらの例の一部に卵巣奇形腫や胸腺腫が見つかるようになり,自己免疫のかかわりがクローズアップされてきている。今回我々はムンプス感染を契機に発症し,15年間診断に苦慮された辺縁系脳炎を経験したので報告する。

参考文献

1) Dalmau J, Tuzun E, Wu HY, et al:Paraneoplastic anti-N-methyl-D-aspartate receptor encephalitis associated with ovarian teratoma. Ann Neurol 61:25-36, 2007
2) 犬塚貴:抗神経抗体陽性辺縁系脳炎の病態.Clin Neurosci 26:506-507, 2008
3) 角替央野,高橋幸利,西村成子:急性辺縁系脳炎におけるグルタミン酸受容体自己免疫の病態.Clin Neurosci 26:508-511, 2008
4) 木村暁夫,根本英明,湯浅龍彦:精神症状で発症,比較的若年女性を冒し画像所見に乏しい急性可逆性辺縁系脳炎―4症例の報告と考察.神経内科 59:45-50, 2003
5) 根本英明,高橋幸利,湯浅龍彦:自己抗体介在性急性可逆性辺縁系脳炎.Neuroinfection 10:44-46, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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