文献詳細
短報
窃盗と精神障害との関連性について―万引と万引以外の窃盗行為者の比較
著者: 袖長光知穂12 田吉伸哉1 錦織知弘13 木内佐和子1 酒井啓子1 山田禎一1 二宮正人2 山口登2
所属機関: 1研精会山田病院 2聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室 3日立南ヘルシーセンター
ページ範囲:P.45 - P.48
文献概要
窃盗罪には,万引・すり・ひったくり・置引・空き巣・自転車盗などがある。
このうち万引事件は1995年から2001年まで増加の一途をたどり,2002年をピークに下降傾向にあるものの,2009年には刑法犯認知件数239万9千702件の約半数を占める129万9千294件4),被害額は2009年の1年間に約34億9千万円にのぼり7),微罪として看過できない犯罪となっている。
筆者は,パーソナリティ障害に起因する反社会的な行動化として万引を反復していると考えられた摂食障害の1例を報告した9)が,日常の臨床および簡易鑑定の診察場面において万引行為者は,万引行為者以外の窃盗犯罪者に比べ,パーソナリティ障害との関連性が大きい印象を抱いていた。
そこで今回我々は,万引者の精神障害の特異性を明らかにする試みを行った。
参考文献
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