文献詳細
文献概要
私のカルテから
当院精神科病棟における禁煙への取り組み
著者: 増田慶一1 冨田洋平1 住吉秀律2 樽本尚文1 萬谷昭夫3
所属機関: 1吉田総合病院精神神経科 2瀬野川病院 3まんたに心療内科クリニック
ページ範囲:P.87 - P.89
文献購入ページに移動喫煙により悪性腫瘍,呼吸器疾患の罹患率は上昇し,平均寿命は10歳短縮するといわれている2)。精神障害者は一般人と比較して喫煙率が高く4,7,8),特に統合失調症患者は喫煙と関係する呼吸器疾患や心疾患に罹患している割合が高く,平均寿命も20%短い1,5)。また喫煙は抗精神病薬の血中濃度を下げ精神症状を悪化させるとの報告もみられ,精神疾患患者においても禁煙を積極的に進めるべきであるとのデータも報告されている6)。2003年5月1日より施行された健康増進法第25条において受動喫煙の防止について規定されたことにより,精神科医療機関でも禁煙が実施されるようになってきたが,まだ十分とはいえないのが現状である。
当院は閉鎖病棟60床,開放病棟60床の計120床の精神科病棟を有する340床の総合病院であるが,主に長期間精神科へ入院している患者が病棟喫煙室や屋外喫煙所で喫煙していた。当院でも2005年7月より精神科病棟以外の館内禁煙を開始し,2007年4月より精神科入院患者に対しても禁煙指導を開始,2010年6月精神科病棟も含めた全館禁煙を達成した。
今回我々は,当院精神科病棟における禁煙の取り組みについて報告する。精神疾患患者の禁煙について考える契機となっていただければ幸いである。
参考文献
掲載誌情報