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文献詳細

雑誌文献

精神医学54巻10号

2012年10月発行

文献概要

特集 医療法に基づく精神疾患の地域医療計画策定

精神疾患の医療計画作成のためのNational Databaseの活用の実際

著者: 藤森研司1 松田晋哉2

所属機関: 1北海道大学病院 地域医療指導医支援センター 2産業医科大学公衆衛生学

ページ範囲:P.983 - P.995

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はじめに

 医療機関から保険者への請求に電子レセプトが普及し,支払基金の2012年7月審査分では件数ベースで病院では99.8%,診療所においても93.4%,調剤薬局では99.9%のレセプトが電子化されている1)。電子レセプトは審査・支払のためのデータであるが,どのような医療行為が行われたのか,どのような薬剤が処方されたのかが詳細に記録されている。

 電子レセプトの活用は保険者において保険者機能の強化の点で徐々に進んできたが,2009年度からは厚生労働省が全国すべての電子レセプト,特定健診データを匿名化の後に収集している(National database;NDB)。これは「高齢者の医療の確保に関する法律」にその根拠を置くものであるが,2011年度からは研究者や自治体も制限つきではあるが利用が可能となった。

 今回我々は,厚生労働省科研費事業として厚生労働省医政局指導課と共同でNDB利用申出を行い,全国の電子レセプトを活用して2013年度に策定される都道府県の地域医療計画の作成に資する210の各種指標を全国349の二次医療圏別に集計した2)。結果は都道府県単位の集計は全都道府県に同じものを,二次医療圏単位の集計は当該の都道府県のみに配布した。配布した指標には精神科領域のものも含まれ,本稿ではその作業過程を紹介するとともに,電子レセプト,NDBが持つ可能性と制約について述べる。

参考文献

1) 支払基金Press Release No.327 http://www.ssk.or.jp/pressrelease/pdf/pressrelease_327_10.pdf
2) 藤森研司,松田晋哉:厚生労働省科学研究費事業「医療計画を踏まえ医療の連携体制構築に関する評価に関する研究」報告書,研究代表者:河原和夫(東京医科歯科大学)【H22―医療―指定―047】
3) 藤森研司,松田晋哉:地域医療計画のための電子レセプト活用の可能性.社会保険旬報 2471:10-18,2011
4) 藤森研司,石川ベンジャミン光一,堀口裕正,松田晋哉:電子レセプト分析の現状と課題.社会保険旬報 2464:10-17,2011
5) 藤森研司,松田晋哉:地域医療計画のための電子レセプト活用の可能性.社会保険旬報 2471:10-18,2011
6) 松田晋哉,藤森研司:DPCデータとレセプトデータを活用した医療計画策定について.社会保険旬報 2491:10-15,2012
7) 藤森研司:地域医療計画のための電子レセプト活用.日本衛生学雑誌 67:56-61,2012
8) 藤森研司,松田晋哉:地域医療計画のためのNational Database活用の実際.データベース構築と指標作成.社会保険旬報 2493:12-19,2012
9) 藤森研司,松田晋哉:地域医療計画のためのNational Database活用の実際.指標の紹介と今後の展望.社会保険旬報 2494:16-24,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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