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特集 医療法に基づく精神疾患の地域医療計画策定
精神疾患の医療計画作成のためのNational Databaseの活用の実際
著者: 藤森研司1 松田晋哉2
所属機関: 1北海道大学病院 地域医療指導医支援センター 2産業医科大学公衆衛生学
ページ範囲:P.983 - P.995
文献購入ページに移動医療機関から保険者への請求に電子レセプトが普及し,支払基金の2012年7月審査分では件数ベースで病院では99.8%,診療所においても93.4%,調剤薬局では99.9%のレセプトが電子化されている1)。電子レセプトは審査・支払のためのデータであるが,どのような医療行為が行われたのか,どのような薬剤が処方されたのかが詳細に記録されている。
電子レセプトの活用は保険者において保険者機能の強化の点で徐々に進んできたが,2009年度からは厚生労働省が全国すべての電子レセプト,特定健診データを匿名化の後に収集している(National database;NDB)。これは「高齢者の医療の確保に関する法律」にその根拠を置くものであるが,2011年度からは研究者や自治体も制限つきではあるが利用が可能となった。
今回我々は,厚生労働省科研費事業として厚生労働省医政局指導課と共同でNDB利用申出を行い,全国の電子レセプトを活用して2013年度に策定される都道府県の地域医療計画の作成に資する210の各種指標を全国349の二次医療圏別に集計した2)。結果は都道府県単位の集計は全都道府県に同じものを,二次医療圏単位の集計は当該の都道府県のみに配布した。配布した指標には精神科領域のものも含まれ,本稿ではその作業過程を紹介するとともに,電子レセプト,NDBが持つ可能性と制約について述べる。
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