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―伊勢田堯,小川一夫,長谷川憲一 編著―生活臨床の基本―統合失調症患者の希望にこたえる支援 フリーアクセス
著者: 江畑敬介12
所属機関: 1江畑クリニック 2日本精神障害リハビリテーション学会
ページ範囲:P.1261 - P.1261
文献購入ページに移動生活臨床の理念は,「重度の精神障害者であっても,他の身体疾患と同様に普通の環境で普通に治療し,そして病院ではなく地域で普通の生活ができるようにする時代を到来させようというビジョン・夢を大胆に掲げ,それらを実現する技術開発・サービスシステム開発によって新しい時代を切り開くことを使命として,生活臨床は取り組まれた。」としている。これは近年精神障害者のリハビリテーションの先進国において取り入れられている理念と同一であり,その理念に基づく臨床活動が1958年に群馬大学ですでに始まっていたのである。その理論は,統合失調症は脳の生物学的な障害の上に,何らかの生活上の出来事を引き金に発症するという仮説に立っている。これは,1977年にJ. Zubinが提唱した脆弱性―ストレス理論と同一であるが,それよりも20年近く前のクレペリン精神医学が全盛時代に著者らによって懐胎されていた概念であったことに驚愕を感じる。
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