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特集 障害者権利条約批准に係る国内法の整備:今後の精神科医療改革への萌芽
今後の精神科医療改革と非自発的入院医療
著者: 吉住昭1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構花巻病院
ページ範囲:P.115 - P.123
文献購入ページに移動はじめに
今,医療・保健・福祉の枠組みが大きく変わろうとしている。医療の分野総体では,医療費の総枠や医師不足をどうするかなどが大きな論点になっている。一方,精神科医療領域に限って見れば,2004(平成16)年にまとめられた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」については,10か年計画の中間点を迎えた2009(平成21)年9月に,今後の精神保健医療福祉のあり方などに関する検討会報告書「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」がまとめられた。この報告書などを踏まえ,施策の具体化を目指し診療報酬の一部改定もなされた。また,2010(平成22)年5月からは「新たな地域保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が設置され,そこでは,アウトリーチ体制の具体化など地域精神保健体制の整備・認知症と精神医療・保護者制度と入院制度について検討が進められている。
また,精神科医療改革は,単に医療という枠組みのみならず障害・福祉という枠組みとも交差し,2つの領域からさまざまな動きが進行している。以下,障害としての対策,具体的には障害者制度改革の推進体制についてふれ,疾患として,精神疾患が5疾病5事業に加えられること,その両者が精神科医療改革に及ぼす影響についてふれる。また,精神科における非自発的入院は,障害者制度改革推進会議においても重要な課題としてあるが,本特集の中で保護者制度の問題と心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)の問題は取り上げられており,筆者が研究班に所属し研究を進めてきた古くて新しい問題である措置入院について取り上げる。
今,医療・保健・福祉の枠組みが大きく変わろうとしている。医療の分野総体では,医療費の総枠や医師不足をどうするかなどが大きな論点になっている。一方,精神科医療領域に限って見れば,2004(平成16)年にまとめられた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」については,10か年計画の中間点を迎えた2009(平成21)年9月に,今後の精神保健医療福祉のあり方などに関する検討会報告書「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」がまとめられた。この報告書などを踏まえ,施策の具体化を目指し診療報酬の一部改定もなされた。また,2010(平成22)年5月からは「新たな地域保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が設置され,そこでは,アウトリーチ体制の具体化など地域精神保健体制の整備・認知症と精神医療・保護者制度と入院制度について検討が進められている。
また,精神科医療改革は,単に医療という枠組みのみならず障害・福祉という枠組みとも交差し,2つの領域からさまざまな動きが進行している。以下,障害としての対策,具体的には障害者制度改革の推進体制についてふれ,疾患として,精神疾患が5疾病5事業に加えられること,その両者が精神科医療改革に及ぼす影響についてふれる。また,精神科における非自発的入院は,障害者制度改革推進会議においても重要な課題としてあるが,本特集の中で保護者制度の問題と心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)の問題は取り上げられており,筆者が研究班に所属し研究を進めてきた古くて新しい問題である措置入院について取り上げる。
参考文献
1) 池原毅和:精神障害法.三省堂,p3,2011
2) 厚生労働省:4疾病5事業について.http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zc42-att/2r9852000000zc7o.pdf
3) こころの健康政策構想会議:こころの健康政策構想会議提言書(2010年5月28日).http://www.cocoroseisaku.org/pdf/cocoro0625.pdf
4) 内閣府:障害者制度改革の推進体制(2010年1月12日).http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_1/pdf/s2.pdf
5) 内閣府:障害者制度改革の推進のための基本的な方向について(2010年6月29日閣議決定).http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_16/pdf/ref.pdf
6) 日本精神神経学会:「障害者制度改革の推進のための基本的方向について」に対する意見―精神科医療に関する分野を中心に(2010年12月25日).http://www.jspn.or.jp/ktj/ktj_k/2010_12_25shougaisyasks/2010_12_25shougaisyasks.html
7) 日本精神神経学会:精神疾患が医療法における医療計画の重要疾病として記載されるにあたっての日本精神神経学会理事会見解(2011年9月28日).http://www.jspn.or.jp/info/2011/2011_09_28kenkai_seishinshikkan.html
8) 瀬戸秀文:精神保健指定医の措置入院と措置解除の判断基準について.全国精神医療審査会連絡協議会.2007年2月23日(岡山).
9) 瀬戸秀文,藤林武史,吉住昭:精神保健指定医の措置入院要否判断に影響する因子について.日精協誌 28:27-32, 2009
10) 瀬戸秀文,藤林武史,吉住昭:精神保健指定医の措置入院要否判断の因子の組み合わせによる影響について―措置入院に関する診断書の決定木分析による検討.臨精医 38:469-478, 2009
11) WHO World Health Report 2004, published February 2009(http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/estimates_country/en/index.html)
12) 吉住昭,瀬戸秀文,藤林武史:措置入院に際する精神保健指定医判断の標準化.日精協誌 28:20-26, 2009
13) 吉住昭,瀬戸秀文,竹島正,他:医療観察法導入後における精神保健福祉法第25条に基づく検察官通報の現状に関する研究.pp9-43,厚生労働科学研究費補助金・医療観察法導入後における触法精神障害者への対応に関する研究.平成21年度分担研究報告書.2010
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