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文献詳細

雑誌文献

精神医学54巻3号

2012年03月発行

書評

―澁谷智子 編著―女って大変。―働くことと生きることのワークライフバランス考 フリーアクセス

著者: 永田貴子1

所属機関: 1国立精神・神経医療研究センター病院精神科

ページ範囲:P.338 - P.338

文献概要

女性の触法患者さんの葛藤から見えるもの

 私が勤務する司法病棟は,精神障害のために重大な他害行為を起こした人の治療と,安全な社会復帰を担う場所である。「幻聴や妄想がつらくて,我慢の限界を超えて(触法行為を)やってしまった」という人が多いなか,「私がいなくなってしまったら,残される家族が可愛そうだと思って」と,妄想から憐憫の情に至って,子どもや配偶者を傷つけてしまった人がいる。実は,後者のようなケースは,時代や国を超えて女性(特に産後のうつ病など)に多いことがわかっている。女性に期待される子育て,介護,家事などから生じる葛藤は,妄想の世界にまで大きな影響を及ぼす深いテーマなのだ。

 さて,本書――情熱的な真っ赤な地に,大きな白い字で「女って大変。」と書かれた表紙を見たとき,思わず「そうそう! 男性のみなさんとは違って大変なのよね」と思った。しかし,本書は男性と真正面から対峙するような単純な構図の本ではないのがよい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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