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短報
Olanzapineとlithium carbonateの併用療法が効果のあった精神病症状を伴う単極性躁病の1例
著者: 大島一成14 宮井美緒1 阿部又一郎24 安宅勝弘3 将田耕作1
所属機関: 1大宮厚生病院 2Association de Santé Mentale 13, Paris 3東京工業大学保健管理センター 4東京医科歯科大学精神行動医科学
ページ範囲:P.403 - P.406
文献購入ページに移動躁状態を反復し,うつ病エピソードを呈さない単極性躁病unipolar maniaは,DSM-Ⅳでは双極性障害bipolar disorderの中に位置づけられている。1960年代以降,単極性/双極性を区別することの有用性を実証的に示す報告2,6)が相次いだが,DSM-Ⅳ(1994)では1度の躁病エピソードがあれば双極Ⅰ型障害とされ,単極性躁病の疾患独自性は消えた。単極性躁病を独立した臨床単位と認めるかどうかについて,慎重な立場1,5)がある一方で,最近のSolomonら8)やPerugiら7)の研究では,その診断的妥当性が改めて強調されている。また,双極性障害における単極性躁病の割合については5~20%と,報告する研究1~3,5~7,9)によって幅があり,これには国・文化・地域差も指摘されている。
今回,発症から28年間,数年周期で躁病あるいは軽躁病エピソードのみを反復してきた症例の躁的錯乱のエピソードにolanzapineとlithium carbonateの併用療法が奏効した経験を得たので報告する。なお,報告にあたっては患者自身の同意を得たうえで,プライバシーの保護に十分配慮した。
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