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文献詳細

雑誌文献

精神医学54巻4号

2012年04月発行

短報

妊娠妄想を呈した統合失調症の1男性例

著者: 新川祐利1 大島健一1 大澤達哉1 岡崎祐士1

所属機関: 1東京都立松沢病院精神科

ページ範囲:P.407 - P.410

文献概要

はじめに

 妄想とは,訂正が不可能な病的な誤った確信で,その内容に基づいて命名される。妊娠妄想は,診察や検査で妊娠が否定されても,妊娠していると確信し,訂正不可能な状態のことである。高橋の定義では,「性行為を実際にも,妄想上も経由せず,自分の身体に新たなる生が芽生えていると着想すること」としている6)。空想的・誇大的色彩を帯びることがあり,妊娠が現実的に不可能な男性患者でもまれながら認めることがある。

 今回,我々は入院治療中に妊娠妄想が出現し,薬物治療と修正型電気けいれん療法にて消失したという統合失調症患者の症例を経験した。妊娠妄想の発生機序や治療について若干の考察を加え,ここに報告する。

参考文献

1) Bitton G, Thibaut F, Lefevre-Lesage I:Delusions of pregnancy in a man. Am J Psychiatry 148:811-812, 1991
2) Chaturvedi SK:Delusions of pregnancy in men. Case report and review of the literature. Br J Psychiatry 154:716-718, 1989
3) Chengappa KN, Steingard S, Brar JS, et al:Delusions of pregnancy in men. Br J Psychiatry 155:422-424, 1989
4) Evans DL, Seely TJ:Pseudocyesis in the male. J Nerv Ment Dis 172:37-40, 1984
5) 辛島敬士,仲谷誠,中山公実,他:妊娠妄想を呈した男子分裂症者の1例.東京精神医学会誌 13:32-35, 1995
6) 高橋紳吾:妊娠妄想における超越と他者についての精神病理学的考察 西独と日本の症例から.臨精医 19:1628-1636, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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