文献詳細
文献概要
動き
「日仏医学コロック2011」印象記
著者: 大島一成12 加藤敏3
所属機関: 1大宮厚生病院 2東京医科歯科大学精神行動医科学 3自治医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.440 - P.441
文献購入ページに移動セッション1では市川宏伸氏(東京都立小児総合医療センター)が,長年の経験から広汎性発達障害(PDD)とアスペルガー症候群の実態と包括的な精神医学的治療について述べ,子どもに合った環境整備,学年が進むにつれ社会生活技能訓練(SST)が必要であると結論した。また,山崎晃資氏(臨床児童精神医学研究所)は,アスぺルガー症候群の就労問題を扱い,それは長い経過の中で試みてきた療育・教育・治療の成果を検証する機会である,と語った。セッション2では,Jean Garrabé氏は自閉症の歴史と分類,特にフランスの小児思春期精神障害分類(la Classification Française des Troubles de l’Enfance et de l’Adolescence)について概観した。その2010年版は,特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)をより明細化することを提案し,さらにⅠ軸(臨床所見)に対してⅡ軸(環境ないし遺伝的要因)を加えており,成因におけるⅡ軸のはたす役割を重視していることに論及がなされた。神尾陽子氏(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部)は日本の発達障害のある子どもの問題に触れ,1歳6か月健診でのPDD早期発見と,全国学童対象の大規模調査,そしてPDD成人の長期予後調査の結果を紹介し,精神医学的治療的介入の意義や支援システムについて提案を行った。
掲載誌情報