文献詳細
文献概要
巻頭言
子どもの精神保健ネットワークの課題と今後の展望
著者: 山崎透1
所属機関: 1静岡県立こども病院こどもと家族のこころの診療センター
ページ範囲:P.452 - P.453
文献購入ページに移動はじめに
児童虐待やいじめをはじめとした現代社会のさまざまなストレスを背景として,不登校,ひきこもり,トラウマ反応,うつ病,自傷・自殺,発達障害児の二次障害,性的逸脱行動,反社会的行動など,子どもの情緒や行動の問題は深刻化・多様化している。少子化によって一般小児科の受診者数が減少しているのに対し,児童精神科を標榜する医療機関を受診する子どもの数は増加しており,近年では初診までの待機日数の長期化が常態化している。また,児童相談所や教育相談センターなどの相談機関においても,深刻な情緒や行動の問題を持つ子どもの相談が増え,その対応に苦慮している。こうした子どもたちが適切な支援や治療を受け,回復し,地域社会で健やかに生活していくためには,医療のみならず,福祉・教育・保健・司法などを含む関係領域が連携し,包括的な支援を行うことが重要であり,地域におけるネットワークを構築していかなければならない。
しかし,こうした子どもの精神保健に関するネットワークを整備していくためには,ネットワークの中核となる医療機関の整備,一次医療機関の整備,専門医などの人材育成,医療従事者のネットワーク活動に対する理解と評価,縦割り行政の解消など,さまざまな課題が山積している。
本稿では,子どもの精神保健ネットワークを整備するための医療側の課題や今後の展望について述べてみたい
児童虐待やいじめをはじめとした現代社会のさまざまなストレスを背景として,不登校,ひきこもり,トラウマ反応,うつ病,自傷・自殺,発達障害児の二次障害,性的逸脱行動,反社会的行動など,子どもの情緒や行動の問題は深刻化・多様化している。少子化によって一般小児科の受診者数が減少しているのに対し,児童精神科を標榜する医療機関を受診する子どもの数は増加しており,近年では初診までの待機日数の長期化が常態化している。また,児童相談所や教育相談センターなどの相談機関においても,深刻な情緒や行動の問題を持つ子どもの相談が増え,その対応に苦慮している。こうした子どもたちが適切な支援や治療を受け,回復し,地域社会で健やかに生活していくためには,医療のみならず,福祉・教育・保健・司法などを含む関係領域が連携し,包括的な支援を行うことが重要であり,地域におけるネットワークを構築していかなければならない。
しかし,こうした子どもの精神保健に関するネットワークを整備していくためには,ネットワークの中核となる医療機関の整備,一次医療機関の整備,専門医などの人材育成,医療従事者のネットワーク活動に対する理解と評価,縦割り行政の解消など,さまざまな課題が山積している。
本稿では,子どもの精神保健ネットワークを整備するための医療側の課題や今後の展望について述べてみたい
掲載誌情報