文献詳細
研究と報告
強度行動障害における自閉性障害との関連性―日本自閉症協会評定尺度(PARS)短縮版による分析
著者: 井上雅彦1 岡田涼23 野村和代4 安達潤5 辻井正次3 大塚晃6 市川宏伸7
所属機関: 1鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座 2日本障害者リハビリテーション協会 3中京大学現代社会学部 4浜松医科大学 5北海道教育学大学旭川校 6上智大学人間科学部 7東京都立小児総合医療センター
ページ範囲:P.473 - P.481
文献概要
本研究では,知的障害者入所更生施設の利用者および知的障害特別支援学校の児童生徒合わせて618名を対象に,強度行動障害判定基準表(旧法),行動援護基準(新法),日本自閉症協会評定尺度(PARS)短縮版を用いて調査し,旧法基準および新法基準による強度行動障害の程度とPARS得点や下位項目との関連,さらに知的発達の程度との関連について分析を行った。結果,強度行動障害に対しては,知的障害の程度だけでなくPARS短縮版の得点の高さが強く影響していることが明らかにされた。特に行動障害に関連するPARS項目としては対人面に関係するものが多く,知的障害が軽度であったとしても,有する自閉性障害が対人関係面で重篤であれば強度行動障害のリスクが大きくなることが示された。強度行動障害判定基準表(旧法)と行動援護基準(新法)の関係については,尺度的な相関の高さが示された。しかし先行研究と同様,各法的基準で定められた得点に含まれる加算対象者の不一致が示され,知的障害を伴わない発達障害を持つ対象者も含めた評定項目の分析や再検討の必要性が示唆された。
参考文献
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