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文献詳細

雑誌文献

精神医学54巻5号

2012年05月発行

研究と報告

強度行動障害における自閉性障害との関連性―日本自閉症協会評定尺度(PARS)短縮版による分析

著者: 井上雅彦1 岡田涼23 野村和代4 安達潤5 辻井正次3 大塚晃6 市川宏伸7

所属機関: 1鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座 2日本障害者リハビリテーション協会 3中京大学現代社会学部 4浜松医科大学 5北海道教育学大学旭川校 6上智大学人間科学部 7東京都立小児総合医療センター

ページ範囲:P.473 - P.481

文献概要

抄録

 本研究では,知的障害者入所更生施設の利用者および知的障害特別支援学校の児童生徒合わせて618名を対象に,強度行動障害判定基準表(旧法),行動援護基準(新法),日本自閉症協会評定尺度(PARS)短縮版を用いて調査し,旧法基準および新法基準による強度行動障害の程度とPARS得点や下位項目との関連,さらに知的発達の程度との関連について分析を行った。結果,強度行動障害に対しては,知的障害の程度だけでなくPARS短縮版の得点の高さが強く影響していることが明らかにされた。特に行動障害に関連するPARS項目としては対人面に関係するものが多く,知的障害が軽度であったとしても,有する自閉性障害が対人関係面で重篤であれば強度行動障害のリスクが大きくなることが示された。強度行動障害判定基準表(旧法)と行動援護基準(新法)の関係については,尺度的な相関の高さが示された。しかし先行研究と同様,各法的基準で定められた得点に含まれる加算対象者の不一致が示され,知的障害を伴わない発達障害を持つ対象者も含めた評定項目の分析や再検討の必要性が示唆された。

参考文献

1) 安達潤,行廣隆次,井上雅彦,他:広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度(PARS)短縮版の信頼性・妥当性についての検討.精神医学 50:431-438, 2008
2) Aman MG, Singh MN(小野善郎 訳):異常行動チェックリスト日本語版(ABC-J)による発達障害の臨床評価.じほう,2006
3) 井上雅彦,岡田涼,野村和代,他:知的障害者入所更生施設利用者における強度行動障害とその問題行動の特性に関する分析.精神医学 53:639-645, 2011
4) 厚生労働省:厚生労働大臣が定める者等.厚生労働省告示543号,2006
5) 厚生労働省:厚生労働大臣が定める者等.厚生労働省告示554号,2006
6) 三島卓穂,川崎葉子,飯田雅子,他:強度行動障害の臨床的研究.発達障害研究 21:202-213, 1999
7) 奥村幸子:強度行動障害特別処遇事業に関する報告.厚生省心身障害研究平成8年度報告書,1996
8) 田中恭子,會田千重,平野誠:強度行動障害の医学的背景と薬物治療に関する検討.脳と発達 38:19-24, 2006
9) 全国自閉症者施設協議会:自閉症や強度行動障害を示す人たちへの支援に関する実態調査.平成19年度障害者保健福祉推進事業調査研究報告書,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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