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バイロン・ケイティのワーク
著者: 関沢洋一1 田中麻里2 清水栄司3
所属機関: 1独立行政法人経済産業研究所 2千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学 3千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学・予防医学センター・子どものこころの発達研究センター
ページ範囲:P.523 - P.529
文献購入ページに移動長引く不況などを背景として強い抑うつや不安を感じて心のケアを必要とする人々は近年増加しているように思われ,また,東日本大震災後にみられたように,心のケアへのニーズが急に高まることもある。しかし,このようなニーズの増加に対して,適切な心のケアを行えるセラピストの数を急増させることは難しく,心のケアを必要としているにもかかわらず十分な手当を受けられない人々が多くなることが懸念される。
このような問題への対応として,従来型の1対1のカウンセリング方式によるセラピーに加えて,抑うつと不安を軽減させるメソッドで,多数の人々に同時に教えることができ,いったん習得すれば自分自身で行えるものを開発し普及させることができれば望ましい。さらに,こうしたメソッドが,読書療法のように独学でも習得できるものであり,かつ,現在は強い抑うつや不安を抱えていない人であっても予防的に活用できるものであれば,いっそう望ましい。
「バイロン・ケイティのワーク(The Work of Byron Katie)」4,5)は,このような要請を満たすメソッドかもしれない。このメソッドは,うつ病患者だったバイロン・ケイティ(Byron Katie)というアメリカ人女性が作りだしたもので,やり方がパターン化されていて,多数の人々に同時に教えやすく,ケイティの著書を読むことによって独学で学ぶことも可能であり,テレビなどを通じて教えることも可能である。このため,震災後のように,心のケアに対する需要が急増した場合でも対応しやすいというメリットがある。
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