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文献詳細

雑誌文献

精神医学54巻5号

2012年05月発行

文献概要

「精神医学」への手紙

自殺既遂の症例研究

著者: 吉田勝也1

所属機関: 1自治医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.531 - P.532

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 精神科医が最も恐れるのは,患者の自殺であろう。主治医にとって,その衝撃は大きい。斉藤ら2)は,患者を失った後の喪の作業として,主治医にとって有益だったこととして,上司や同僚との議論,スタッフとのカンファレンス,関連した文献を読むことを挙げている。

 筆者は以前,出向を契機に仕事上の目標を喪い,うつ病を発症し,焼身自殺を遂げた症例(Aさん)を報告した3)。Aさんは筆者にとって,自殺を遂げた初めての患者さんである。症例報告は,筆者の喪の作業として,非常に役立ったと感じている。同時に,書いても,書いても書き尽くせない何かがあると思った。

参考文献

1) Maltsberger JT :Suicide Risk The Formulation of Clinical Judgment. New York University Press, New York, 1986(高橋祥友 訳:自殺の精神分析 臨床的判断の精神力動的定式化.星和書店,pp199-201, 1994)
2) 斉藤陽子,中尾智博,竹田康彦,他:患者の自殺が主治医に与える影響.精神医 43:377-384, 2001
3) 吉田勝也,小林聡幸,加藤敏:「目標を目指した努力」についての一考察―焼身自殺を遂げたうつ病の症例を通して.臨精医 27:1401-1406, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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