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文献概要
連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ
35年目の「逃避型抑うつ」
著者: 広瀬徹也1
所属機関: 1(公財)神経研究所附属晴和病院
ページ範囲:P.534 - P.536
文献購入ページに移動昨今,「逃避型抑うつ」を諸家の論文中に見出す場合,いわゆる新型うつ病論の導入として,ないしはそのはしりとして名称だけが記されているものがほとんどである。そしてメインとなる記述は「ディスチミア親和型うつ病」となる。「逃避型抑うつ」2)が35年前の1977年の登場なのに対して「ディスチミア親和型うつ病」が2005年と新しいこと,登場と同時に無条件承認のように多くの人々に受け入れられたことを考えると,その差も当然かという気もする。
しかし,逃避型抑うつとディスチミア親和型うつ病では多くの点で対照的であるうえ5),逃避型抑うつは経済状況の厳しい昨今でも一定の頻度でみられることから,上記のような引用は厳密には正当とはいえないであろう。そこで,今やディスチミア親和型うつ病の陰に隠れた逃避型抑うつのエッセンスの紹介と,以前の論文以降の補足を加えることにする。
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