文献詳細
私のカルテから
拒薬を伴うがん終末期のせん妄に対しchlorpromazineを経静脈的に使用した1症例
著者: 石川博康1 髙清水清治1 横山直弘2 田中雄一2
所属機関: 1中通総合病院精神科 2中通総合病院消化器外科
ページ範囲:P.731 - P.733
文献概要
Chlorpromazine(CPZ)はがん終末期の緩和医療において,せん妄,嘔気,呼吸困難などに対しての広い使用法が提唱されている6~8)。欧米では点滴静注を含めて多様なCPZの投与方法が選択できるが,本邦では現在内服と筋注用の製剤しか利用できない。CPZの筋注用の注射剤(コントミン筋注®)は成分組成上経静脈的投与も可能と考えられ,がんの症例において嘔気1)や不穏・不眠・疼痛4)に対して点滴静注で使用された国内報告があるものの,そのような使用は一般的ではなく,精神科医からの報告もない。今回,拒薬を伴うがん終末期のせん妄の症例において,CPZの筋注用の注射剤を点滴静注にて投与し,筋注による痛み侵襲無しに精神症状の治療を行い得た症例を経験したので報告する。
参考文献
掲載誌情報