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松山市の一精神科病院における外来受診患者の最近の動向調査
著者: 柿本泰男1 松村知治1 廣藤光介1
所属機関: 1松山記念病院
ページ範囲:P.829 - P.835
文献購入ページに移動わが国の人口の動態の急速な変化,すなわち少子高齢化は,精神科領域の主病変である統合失調症,躁うつ病および認知症の患者数に大きな変化をもたらしている。社会の産業構造の変革,世界経済の変動,家族や地域での生活様式の変化も精神疾患の発生や治療介護に大きな影響を及ぼしている。それらの疾患の患者数が年々増加し,その対策が不可欠として,2011年7月6日付で厚生労働省は,これまでのがん,脳卒中,心臓病,糖尿病に新たに精神疾患を加えて「5大疾病」として地域保健医療計画を作ることとした。
精神疾患の患者は,地域社会における長年の偏見と差別のため,その実態が把握しがたかったが,最近20~30年間の経過の中で世の中の精神疾患への偏見は減少し,最近は比較的自由に精神科医療機関で治療を受けることができるようになった。精神科病院や精神科診療所も増加し,最近10年間は,ほぼ患者の需要を満たすようになったと思われる。そのため,ある医療機関の患者の動態は,その地域の患者の変化の実態をある程度反映するようになったと考えることができる。そこで地方の平均的な都市である松山市(人口51万人)における主要な精神科病院(市内6病院の総病床数1,675床のうち,本病院は743床)である松山記念病院での最近の患者数の変化を調べ,この地域の精神疾患患者の変動の実態の一端を知ろうと試みた。本病院は1932年に設立され,その後今日に至るまでのカルテはすべて保存している点,調査研究にとって有利である。本研究では最近11年間の松山記念病院の外来患者を年度ごとに疾患別に調査した。
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