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Quetiapineへの切り替え後に社会機能の改善がみられた慢性期統合失調症の2例―精神障害者社会生活評価尺度(Life Assessment Scale for the Mentally Ill;LASMI)を用いて
著者: 河邉憲太郎13 栗林達也2 福原竜治3 細田能希1 上野修一3
所属機関: 1医療法人佑心会堀江病院 2医療法人佑心会堀江病院看護部 3愛媛大学大学院医学系研究科脳・神経病態制御医学講座脳とこころの医学
ページ範囲:P.847 - P.852
文献購入ページに移動統合失調症は,発病前期・前駆期・進行期・安定期の経過をたどる10)が,安定期では疾病水準が固定化し,抗精神病薬による治療効果は限局的である6)とされる。一方,近年,非定型抗精神病薬が用いられるようになり,統合失調症の寛解(remission)が可能になるに従い,単に疾患からの回復(recovery)を目指すだけでなく,社会復帰が指向されるようになりつつある3)。すなわち,陽性症状の改善に加え,陰性症状・認知機能障害などが関与する社会機能やquality of life(QOL)の改善を目指すことが重要視されるようになった。提示する慢性期統合失調症2症例は,幻覚や妄想などの陽性症状が表出されず内在する一方で,疎通性の不良などのコミュニケーション障害が目立つため,隔離室を中心とした入院治療が必要であったが,抗精神病薬を整理し,quetiapineを中心とした薬物療法に変更したところ,疎通性の改善や活動性の向上を認め,退院までには至らないものの,最終的に行動制限の改善が可能となった。今回,精神症状の評価に簡易精神症状評価尺度(Brief Psychiatric Rating Scale;BPRS)日本語版8)(各項目別スコア,合計スコア,クラスター別スコア2))に加え,日常生活・社会生活の評価として精神障害者社会生活評価尺度(Life Assessment Scale for the Mentally Ill;LASMI)4)を用い評価した。なお,症例報告に関しては家族の同意を得て,個人情報保護の観点から,本質に支障のない程度に症例の内容を変更している。
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