icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学54巻8号

2012年08月発行

文献概要

私のカルテから

SSRIで出現した出血傾向に,他のSSRIへの変更が有効であったパニック障害について

著者: 三和千徳12

所属機関: 1神戸学院大学人文学部人間心理学科 2みわ心療クリニック

ページ範囲:P.853 - P.855

文献購入ページに移動
はじめに

 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は気分障害や不安障害などに幅広く臨床現場で使用される薬物である。SSRIの稀な副作用として出血傾向が知られており,以前から多くの報告がある。出血傾向の出現後の対応としてはSSRIの服薬中断が原則であると思われるが,中断後に抑うつ気分や不安感が増悪し,その対応に苦慮することも多い。今回,筆者はfluvoxamineの使用で紫斑が出現したために中止し,その後sertralineを使用したところ紫斑の出現もなく良好な経過を得た1例を経験した。その症例の経過を報告し,出血傾向の出現後にSSRIから他のSSRIへの変更することについて考察を行った。なお,投稿にあたっては口頭で患者から同意を得た。また,プライバシー保護の観点から,科学的考察に支障がない範囲で症例の内容を変更した。

参考文献

1) Andrade C, Sandarsh S, Chethan KB, et al:Serotonin reuptake inhibitor antidepressants and abnormal bleeding:A review for clinicians and a reconsideration of mechanisms. J Clin Psychiatry 71:1565-1575, 2010
2) Fountoulakis KN, Samolis S, Iacovides A, et al:Ecchymoses as an adverse effect of fluoxetine treatment. Psychiatry Res 152:91-92, 2007
3) 中嶋純洋:Paroxetine投与中に出血時間延長および血小板減少を伴わない紫斑が出現したパニック障害の1例について.精神医学48:425-429, 2006
4) Maurer-Spurej E, Pittendreigh C, Solomons K:The influence of selective serotonin reuptake inhibitors on human platelet serotonin. Thromb Haemost 91:1119-128, 2004
5) Meijer WE, Heerdink ER, Nolen WA, et al:Association of risk of abnormal bleeding with degree of serotonin reuptake inhibition by antidepressants. Arch Intern Med 164:2367-2370, 2004
6) 多田幸司,上原純,松田えみ,他:SSRIとNSAIDs服用中に重篤な消化管出血を来した3症例.精神医学45:187-189, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?