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書評
―長嶺敬彦 著―統合失調症を生きる―精神薬理学から人間学へ
著者: 諸岡良彦1
所属機関: 1東京工業大学
ページ範囲:P.818 - P.818
文献購入ページに移動 本書は単科精神病院の内科部長によって書かれた統合失調症と薬物療法を要とする治療全般にわたる解説書である。「精神薬理学から人間学へ」という副題が示すように,薬理から出発して病理を考え,治療の論理を展開し,患者の統合的な健康をもケアする医師によって書かれたもので,病態と薬効,症例を中心とする既存書にはみられない斬新な内容となっている。
統合失調症は国民が1%の比率で罹患する疾患で,その原因が確定されてない最大のものであろう。診断は病態に関する問診がすべてで,その基準は国によっても,個々の精神科医によってもかなりの幅がある。わが国では独自の基準もなく,かつて双極性障害との境界をカバーした非定型精神病という診断もいつの間にか消失した。替わって影響力を増したDSMも病理ではなく,病態中心の診断のためのマニュアルに過ぎない。Schizophreniaと名の付く類似疾患も2,3にとどまらず,統合失調症自体の症状にさえ,全く別の疾患である広範性発達障害の影が陰に陽にちらついている。
統合失調症は国民が1%の比率で罹患する疾患で,その原因が確定されてない最大のものであろう。診断は病態に関する問診がすべてで,その基準は国によっても,個々の精神科医によってもかなりの幅がある。わが国では独自の基準もなく,かつて双極性障害との境界をカバーした非定型精神病という診断もいつの間にか消失した。替わって影響力を増したDSMも病理ではなく,病態中心の診断のためのマニュアルに過ぎない。Schizophreniaと名の付く類似疾患も2,3にとどまらず,統合失調症自体の症状にさえ,全く別の疾患である広範性発達障害の影が陰に陽にちらついている。
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