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文献詳細

雑誌文献

精神医学54巻9号

2012年09月発行

短報

舞踏運動がみられず,長期にわたり精神疾患と誤診されたHuntington病の1例

著者: 岩藤元央1 田中大輔1 樋口久1 野口美和1 鈴木慈1 山口登1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学神経精神科

ページ範囲:P.907 - P.910

文献概要

抄録

 Huntington病(HD)は,常染色体優性の遺伝形式をとる進行性の神経変性疾患である。舞踏運動(chorea)と形容される特徴的な不随意運動が90%以上に出現し,筋トーヌスの異常などの種々の神経症状も出現する。また,精神症状(認知症,人格変化,幻覚妄想,感情障害)および自殺企図の傾向といった臨床的特徴を持つ。今回我々は,初期に舞踏運動などの特徴的な症状を呈さず,抑うつ症状などの精神症状が主体であったため,診断確定までに6年を要したHDの1例を経験した。今後HDの早期診断のために,HDの初期の精神症状の特徴,鑑別方法について,文献的考察を交え報告する。

参考文献

1) Kremer B:Clinical neurology of Huntington's disease:Diversity in unity, unity in diversity. In:Bates G, Harper PS, Jones L, ed. Huntington's Disease. Oxford University Press, Oxford, pp28-61, 2002
2) 長谷川一子:ハンチントン病.難病と在宅ケア13:24-26, 2008
3) 三好功峰,佐藤正保,森村安史:ハンチントン舞踏病の精神症状.臨床精神医学20:1205-1209, 1991
4) 望月秀樹:ハンチントン病とその治療.からだの科学265:104-105, 2010
5) 中村重信:Huntington舞踏病.総合臨牀44:2582-2585, 1995
6) 高内茂:Huntington病.三好功峰,黒田重利編:臨床精神医学講座10,器質・症状性精神障害.中山書店,pp137-146, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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