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Risperidoneからaripiprazoleへの置換により部分的に認知機能の改善を認めた長期入院中の統合失調症患者の1例―MCCB日本語版を用いた評価
著者: 中村尚史1 原田俊樹2 片山寄子2 橋口真人2
所属機関: 1川崎医科大学精神医学教室 2こころの医療たいようの丘ホスピタル
ページ範囲:P.949 - P.951
文献概要
統合失調症患者の長期入院は現在も大きな課題であるが,その要因の1つに認知機能障害が指摘されている。たとえば記憶,遂行機能,注意,語流暢性などの障害があり,これらが社会適応や就労状況といった機能的転帰と関連するという報告がある3)。この問題を解決するため,米国の国立精神衛生研究所(NIMH)が中心となり,統合失調症における認知機能の改善のための測定と治療の研究(Measurement and Treatment Research to Improve Cognition in Schizophrenia;MATRICS)が約10年前から進められてきた。この研究の中で統合失調症の認知機能を測定できるバッテリー,MATRICS-Consensus Cognitive Battery(以下MCCB)が開発された2)。わが国においてもMCCB日本語版に翻訳され4),現在ではいくつかの研究施設にて臨床研究に応用されている。
MCCB日本語版は,処理速度,注意/覚醒,ワーキングメモリー(非言語,言語),言語学習,視覚学習,推論と問題解決,社会認知の7つの認知機能領域を10のテストを使用し評価する。今回,こころの医療たいようの丘ホスピタル(以下当院)において,長期入院中の統合失調症の患者に対して,risperidoneからaripiprazoleに置換を行い,その前後で認知機能をMCCBにて評価を行い,部分的に認知機能の改善を認めた1例を経験したので考察を含めて報告する。なお,本症例報告の投稿に際して患者および家族の同意を得て,さらに当院内の倫理委員会にて承認を得た。
参考文献
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