精神医学55巻1号

2013年01月発行

短報

修正型電気けいれん療法施行後に心室頻拍を呈し回復が困難だった1例

著者： 野口剛志¹ 高崎英気¹

所属機関： ¹名寄市立総合病院心療内科・精神科

ページ範囲：P.33 - P.35

文献概要

はじめに

　近年わが国では，静脈麻酔薬，筋弛緩薬，酸素化を用いた修正型電気けいれん療法(以下m-ECT)が総合病院を中心に普及しつつある。m-ECTは麻酔科医により呼吸循環の管理が行われることから，きわめて安全な治療と考えられている。今回，我々はm-ECT施行後に心室頻拍を呈し，麻酔科医の迅速な対応にもかかわらず回復が困難だった症例を経験したので報告する。

参考文献

1) Abrams R(一瀬邦弘，本橋伸高，中村満，監訳)：電気けいれん療法．Electroconvulsive Therapy, 4th ed，へるす出版，2005

2) 八田耕太郎，臼井千恵，伊藤賢伸，他：ECT後に発生した重篤な合併症の病態と予防可能性について．精神経誌110：669-671, 2008

3) 稲田健，高橋恵，井上彩，他：修正電気けいれん療法施行後に呼吸停止と心電図上心室頻拍を呈した統合失調症の1例．精神医学47：1259-1261, 2005

4) 中村大介，堀孝文，片野綱大，他：修正型電気けいれん療法(mECT)における有害事象について―70例の検討．精神科治療学20：727-736, 2005

5) Kim C, Yokozuka M, Sato C, et al：Incessant non-sustained ventricular tachycardia after stimulus of electroconvulsive therapy with atropine premedication? Psychiartry Clin Neurosci 61：564-567, 2007

6) 卜部和昌，小口敏孝，石川和由，他：全身麻酔下の電気痙攣療法施行直後に発現した心室頻拍の1症例．麻酔50：50-52, 2001

7) Usui C：Possible effect of beta-blocker on the prevention of ventricular tachycardia during electroconvulsive therapy. Psychiartry Clin Neurosci 62：623, 2008