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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻1号

2013年01月発行

文献概要

私のカルテから

胎児性アルコールスペクトラム障害が疑われる1男児の臨床的発達評価

著者: 中山浩1

所属機関: 1川崎市こども家庭センター

ページ範囲:P.86 - P.88

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はじめに

 胎児性アルコール症候群(fetal alcohol syndrome;FAS)は,母親のアルコール摂取による胎児への影響として1973年にJonesによって提唱された症候群である。母親の飲酒歴,顔面の小奇形,身体発育不全,脳発達の障害が特徴とされている。近年,妊娠中にアルコール摂取歴があるが,奇形を伴わず,主として認知面,行動面の問題をもつ幅広い概念が注目され,胎児性アルコールスペクトラム障害(fetal alcohol spectrum disorder;FASD)という名前が提唱されている。今回筆者は,FASDに該当すると考えられる児童の評価と対応の方針決定にかかわった。FASやFASDの児童は行動面で注意欠如/多動性障害(ADHD)の特性を持つことが多いとされているが,近年アルコールが原因ではないADHDの児童の特徴との認知行動面の違いも検討されてきている。本児童の特徴をこれらの報告と比較検討し,日本におけるFASやFASDの児童の支援に向けた検討への資料としたい。なお本報告については,保護者から口頭での承諾を得ており,またプライバシーの保護のため,趣旨を損なわない範囲で変更を加えている。

参考文献

1) Crocker N, Nguyen TT, Mattson SN:Fetal alcohol spectrum disorders:Neuropsychological and behavioral features. Neuropsychol Rev 21:81-101, 2011
2) ジョージ・J・デュポール,トーマス・J・パワー,アーサー・D・アナストポウロス,他著,坂本律訳:診断・対応のためのADHD評価スケール.明石書店,pp86, 2008
3) 鈴木健二,森田左紀子,村岡英雄,他:アルコール依存症の母親を持つ子どもにおけるFetal Alcohol Spectrum Disorders(FASD)についての研究.日アルコール・薬物医会誌 40:219-232, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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