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胎児性アルコールスペクトラム障害が疑われる1男児の臨床的発達評価
著者: 中山浩1
所属機関: 1川崎市こども家庭センター
ページ範囲:P.86 - P.88
文献購入ページに移動胎児性アルコール症候群(fetal alcohol syndrome;FAS)は,母親のアルコール摂取による胎児への影響として1973年にJonesによって提唱された症候群である。母親の飲酒歴,顔面の小奇形,身体発育不全,脳発達の障害が特徴とされている。近年,妊娠中にアルコール摂取歴があるが,奇形を伴わず,主として認知面,行動面の問題をもつ幅広い概念が注目され,胎児性アルコールスペクトラム障害(fetal alcohol spectrum disorder;FASD)という名前が提唱されている。今回筆者は,FASDに該当すると考えられる児童の評価と対応の方針決定にかかわった。FASやFASDの児童は行動面で注意欠如/多動性障害(ADHD)の特性を持つことが多いとされているが,近年アルコールが原因ではないADHDの児童の特徴との認知行動面の違いも検討されてきている。本児童の特徴をこれらの報告と比較検討し,日本におけるFASやFASDの児童の支援に向けた検討への資料としたい。なお本報告については,保護者から口頭での承諾を得ており,またプライバシーの保護のため,趣旨を損なわない範囲で変更を加えている。
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