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雑誌詳細

文献概要

特集 アンチスティグマ活動の新しい転機Ⅰ

スピーカーズビューローによる精神障害のアンチスティグマ活動の実践報告

著者: 菅原里江12 中鉢皓大2 佐藤光源234

所属機関: 1東北福祉大学総合福祉学部 2仙台市メンタルヘルス プロモーションセンター 3東北大学 4医療法人有恒会こだまホスピタル

ページ範囲:P.955 - P.959

はじめに

 精神症状の消失と社会的機能の改善,さらにリカバリーを目指した精神科医療が行われているが5),それを阻む大きな要因に精神障害に対するスティグマがある2)。2004年からの「精神保健医療福祉の改革ビジョン」でも国民意識変革のための適正な知識の普及啓発が3本柱の1つであるが,新たな目標の設定とその推進が課題とされている1)。日本では精神分裂病の病名が変わり,社会に説明する疾病概念も現実的なコンセプトに刷新されたが,それも社会参加や自立を阻むスティグマの解消を目指したものである3)。多要因からなるスティグマの解消に向けてさまざまな活動が行われているが,知識の適正化よりも,むしろ当事者との接触体験が内外で効果的な方法と考えられている。

 ここでは単なる接触体験を超えて,仙台市が取り組んできた当事者自身による普及啓発活動4)を紹介し,それが社会的スティグマとともにセルフスティグマの改善にも有用であることを報告する。

参考文献

1) 厚生労働省:精神保健医療福祉のさらなる改革に向けて.今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会,2009
2) Sartorius N:Stigma and discrimination because of schizophrenia:A summary of the WPA Global Programme Against Stigma and Discrimination Because of Schizophrenia. World Psychiatry 4:11-15, 2005
3) Sato M:Renaming schizophrenia:A Japanese perspective. World Psychiatry 5:53-64, 2005
4) 佐藤光源,菅原里江,中鉢皓大:仙台市精神障害者地域社会交流促進事業実施報告書(平成21~24年)
5) 佐藤光源:統合失調症の治療―症状寛解とリカバリーをめぐって.統合失調症第5巻:10-17,医薬ジャーナル社,2013
6) 菅原里江:地域におけるアウトリーチ型当事者活動展開に関する一考察.東北福祉大学研究紀要35:23-37, 2011
7) 菅原里江:アウトリーチ型当事者活動の活動支援に関する一考察.東北の社会福祉研究記念創刊号:77-90, 2011
8) 菅原里江:精神障害当事者のリカバリ過程に関する研究.東北福祉大学研究紀要37:103-115, 2013

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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