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短報
統合失調症で入院中に急激に認知機能が低下し,Creutzfeldt-Jakob病と診断された1例
著者: 白形拓郎1 本田明2 宮崎唯雄3 新谷太1 原尚之1
所属機関: 1東京武蔵野病院精神科 2東京武蔵野病院内科 3東京武蔵野病院脳神経外科
ページ範囲:P.989 - P.992
文献購入ページに移動62歳,女性,統合失調症。数回の入院歴がある。入院時は躁状態であったが,急激に見当識障害を呈し,認知症状態となった。やがて昏迷状態となり,全身の筋緊張を伴った。緊張型統合失調症の一種と診断したが向精神薬の効果は限定的であった。その後,全体的な脳皮質萎縮,周期性同期性放電(PSD)を認め,孤発性Creutzfeldt-Jacob病(sporadic Cretzfeldt-Jacob disease;sCJD)の強い疑いであると診断修正した。徐々に自発呼吸が失われていき,呼吸不全により死亡した。比較的特徴的な所見であるPSDがより早期に確認できれば診断時期は早まった可能性がある。統合失調症は時として緊張病症状を呈することがあるが,器質因を十分に否定してから精神症状を説明することが重要であると考えさせられた。
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