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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻10号

2013年10月発行

短報

超高齢者におけるAlzheimer型認知症に伴うBPSDに対しgalantamine投与で症状が改善した1例

著者: 河端崇1

所属機関: 1札幌太田病院

ページ範囲:P.993 - P.995

文献概要

はじめに

 Alzheimer型認知症は認知機能障害のみならず,Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(BPSD)と呼ばれる行動,心理症状を伴うことが多い。BPSDは患者本人にとっては危険が大きく介護者の負担も増大させるため,そのマネージメントが重要となる。

 Galantamineはアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬に分類される薬剤であるが,AChE阻害作用によってシナプス間隙のアセチルコリン濃度を増加させるだけなく,前シナプスのニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を賦活し感受性を亢進するアロステリック活性化リガンド(APL)作用を併せ持っていることが特長である6)。APL作用を介し,セロトニン,ドーパミンなどの神経伝達物質の分泌を促進することで,Alzheimer型認知症のBPSDの改善に寄与する可能性があることが示唆されている3)

 今回,Alzheimer型認知症のBPSDにて入院となった超高齢患者にgalantamineを使用し良好な転帰を辿った症例を経験したので,若干の考察とともに報告する。なお,症例の特定を避けるために細部は改変を施してある。

参考文献

1) Gill SS, Bronskill SE, Normand SL, et al:Antipsychotic drug use and mortality in older adults with dementia. Ann Intern Med 146:775-786, 2007
2) Herrmann N, Rabheru K, Wang J, et al:Galantamine treatment of problematic behavior in Alzheimer Disease:Post-hoc analysis of pooled data from three large trials. Am J Geriatr Psychiatry 13:527-534, 2005
3) 鍋島俊隆:ガランタミンの薬理作用―APL作用による各種神経伝達物質の遊離.老年精神誌22(増刊号-2):33-39, 2011
4) Nieoullon A, Bentué-Ferrer D, Bordet R, et al:Importance of circadian rhythmicity in the cholinergic treatment of Alzheimer's disease:Focus on galantamine. Curr Med Res Opin 24:3357-3367, 2008
5) Samochocki M, Höffle A, Fehrenbacher A, et al:Galantamine is an allosterically potentiating ligand of neuronal nicotinic but not of muscarinic acetylcholine receptors. J Pharmacol Exp Ther 305:1024-1036, 2003
6) 下濱俊:Galantamineの基礎薬理.臨床精神薬理15:323-335, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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