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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻10号

2013年10月発行

文献概要

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編集後記 フリーアクセス

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ページ範囲:P.1026 - P.1026

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◆最近の経験から。編集子の勤務する総合病院では精神科ではなく心身医療科を標榜している。受療中のある高齢女性から,良い名前ですね,精神科よりずっといいですねと褒めていただき,こちらも嬉しくなった。ところが別の高齢女性は,診察が終わって部屋を出たとたん他科受診者から一斉に見られた,会計窓口で名前を呼ばれたと動揺された。自分の名前は珍しく近所に知られてしまった,もうここには来られないということで他院への紹介状を書く羽目になった。◆精神科に対する偏見は根強い。都市部よりも非都市部で,若年者よりも高齢者で。精神科医はだれもがそのような偏見と闘いながら診療している。闘うといっても社会的運動ではなく,スティグマが病状の悪化につながる重要な要因と認識しながら日々活動している。◆今月号の特集企画はアンチスティグマが取り上げられている。アンチスティグマを真正面から取り上げた日本で初の国際学会(WPA分科会)での数多くの発表が活字になった。Sartorius,Thornicroftという大御所をはじめ,日本で地道な活動に取り組んできた専門家から当事者まで十数名が筆をふるっている。企画していただいた秋山剛先生に感謝したい。◆企画を読むと偏見是正は容易でないことが分かる。過去10年間で精神障害への偏見はやや悪化しているという報告があり,既存のアンチスティグマ活動は総花的,短期的で実効性がどうかといった議論もある。そして科学的な取り組み,きちんとした計画と検証,ターゲットを明確にした包括的で長期にわたる活動の重要性などが強調され,説得力がある。個々の患者さんが何ら気にすることなく精神科受診できるのはまだ先かもしれないが,若い世代を中心に,次第にアンチスティグマ活動の成果が表れることを期待したい。◆今月も興味深い論文で紙面を埋めることができた。原著論文に加えて,展望,紹介,東日本大震災・原発事故の連載,手紙等々多彩である。最近の傾向として原著論文がやや少ないのが残念である。今後とも読者の方々の積極的なご投稿をお願いしたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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