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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻11号

2013年11月発行

文献概要

巻頭言

精神科医は役に立っているのか

著者: 河西千秋1

所属機関: 1横浜市立大学医学群健康増進科学

ページ範囲:P.1028 - P.1029

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 自殺予防対策に関する実践・研究に携わって十年以上が経った。後輩から何か研究をしてみたいという相談を受け,それならばと救命救急センターに搬送される自殺企図者に関する研究を勧めたのが始まりだった。

 そもそも,患者さんと治療者の苦労が大きければ大きいほどそれを研究に昇華させ,双方の労苦に何らかの解決の方向性を見出していくという考えの下に,私自身は研究をしてきた。患者さんは自己治癒力を持っているので,乱暴な言い方をすれば,少しばかり医者の性能が悪くても治る人は治るわけで,難しい病気,困難な課題に取り組んでこそということで,それまで私は重篤副作用や難治性の病態研究を行っていた。一方で,医者になって以来,身近で患者さんや知人の衝撃的な自殺を経験し,そのことで独り反問し続ける中で,何とか自殺の真実に近づくことができないものかと考えていた。しかし当時の私は,あまりにも広大な自殺学の世界を前になす術もなく,また,自殺企図者はheterogeneousで研究の対象にはなり得ないと思っていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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