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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻11号

2013年11月発行

文献概要

資料

医療・福祉機関における発達障害に関するアセスメントツールの利用実態に関する調査

著者: 松本かおり1 伊藤大幸1 小笠原恵2 明翫光宜3 染木史緒4 谷伊織5 行廣隆次6 内山登紀夫7 黒田美保8 稲田尚子9 岩永竜一郎10 萩原拓11 原幸一12 井上雅彦13 村上隆14 中村和彦15 杉山登志郎16 内田裕之17 市川宏伸18 辻井正次14

所属機関: 1浜松医科大学子どものこころの発達研究センター 2東京学芸大学総合教育科学系 3中京大学心理学部 4ニューヨーク市立大学スタッテン島校教育学部 5東海学園大学人文学部 6京都学園大学人間文化学部 7福島大学大学院人間発達文化研究科 8淑徳大学総合福祉学部 9東京大学医学部附属病院こころの発達診療部 10長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 11北海道教育大学旭川校 12徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部 13鳥取大学医学系研究科 14中京大学現代社会学部 15弘前大学大学院医学研究科 16浜松医科大学児童青年期精神医学講座 17大阪大学大学院連合小児発達学研究科 18東京都立小児総合医療センター

ページ範囲:P.1093 - P.1102

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抄録

 発達障害児者の支援に携わる全国の2,790の医療機関および福祉機関を対象に,アセスメントツールの利用の実態と利用を規定する要因を検討することを目的に調査を行った。一般的ツールの利用率は,医療機関や児童相談所では9割,発達障害者支援センターや保健センターでは7~8割であったが,福祉施設・事業所ではわずかに2割以下であった。全般的に知能検査・発達検査が比較的よく利用されている一方で,生活能力,問題行動,発達障害特性に関するツールは利用する機関が少なかった。特に,18歳未満の利用者がいない福祉施設・事業所では,アセスメントツールの普及が遅れていた。アセスメントツールの利用には,実施者や購入資金,実施時間といった資源の不足のみならず,アセスメントに対する理解の不足,ツールの利便性の問題なども影響することが推測された。

参考文献

1) Conners CK:Conners 3rd Edition:Manual. Toronto, Ontario, Canada:Multi-Health Systems. NCS Pearson, Mineapolis, 2008(田中康雄監訳:坂本律訳:Conners 3日本版マニュアル.金子書房,2011)
2) Conners CK, Erhardt D, Sparrow E:Conners' Adult ADHD Rating Scales. NCS Pearson, Mineapolis, 2008(CAARS日本語版.中村和彦監修.染木史緒,大西将史監訳.金子書房,2012)
3) DuPaul GJ, Power TJ, Anastopoulos AD, et al:ADHD Rating Scale-Ⅳ:Checklist, Norms, and Clinical Interpretation. Guilford Press, New York, 1998(診断・対応のためのADHD評価スケールADHD-RS(DSM準拠)チェックリスト,標準値とその臨床的解釈.市川宏伸,田中康雄監修,坂本律訳.明石書店,2008)
4) 厚生労働省:研究に関する指針について.〈http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/〉
5) LeCouteur A, Lord C, Rutter M:The Autism Diagnostic Interview-Revised(ADI-R). Western Psychological Services, Los Angeles, 2003(ADI-R日本語版研究会監訳.土屋賢治・黒田美保・稲田尚子監修.ADI-R日本語版.金子書房,2013)
6) Lord C, Rutter M, DiLavore PC, et al:Autism Diagnostic Observation Schedule. Western Psychological Services, Los Angeles, 2002
7) PARS委員会:PARS(広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度).スペクトラム出版,2008
8) Prifitera A, Saklofske DH, Weiss LG:WISC-Ⅳ Clinical Assessment and Intervention, 2nd ed(Practical Resources for the Mental Health Professional). Academic Press, Massathusetts, 2008(日本版WISC-IV刊行委員会:日本版WISC-IV理論・解釈マニュアル.日本文化科学社,2010)
9) Sparrow SS, Cicchetti DV, Balla DA:Vineland Adaptive Behavior Scales, 2nd ed, Survey Forms Manual. NCS Pearson, Minneapolis, 2005
10) 杉山登志郎:基礎講座 自閉症児への教育.日本評論社,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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