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ブロナンセリンへの切り替えがニコチンおよびカフェイン依存に奏効した統合失調症の1例
著者: 大沼徹1 新井平伊1
所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.1103 - P.1105
文献購入ページに移動統合失調症の薬物療法は,第1世代抗精神病薬(first-generation antipsychotics;FGA),第2世代抗精神病薬[second generation antipsychotics;SGA,または鎮静系SGA(sedative-SGA;S-SGA)],そして非鎮静系SGA(non-sedative-SGA;NS-SGA)へと発展してきた。日本でNS-SGAとして認識されている抗精神病薬はブロナンセリン(ロナセン®)とアリピプラゾール(エビリファイ®)の2剤である。NS-SGAは副作用が少ない特性に加え,ドーパミンD3受容体に作用することが特徴である。統合失調症患者は,精神的な安堵感を得るためか,また上記FGAやS-SGAの抗コリン性副作用を喫煙により(ニコチン受容体刺激)緩和するためか,喫煙率が非常に高い1)。喫煙は一部の抗精神病薬の血中濃度を低下させ症状の不安定化などの悪循環をもたらす3)。また統合失調症患者では,抗精神病薬の副作用からくる眠気のためか,覚醒度を上げるためカフェイン摂取率も高く5),これが直接不眠などの悪循環をもたらし,また向精神薬の効果吸収を低下させる一因ともなる。さらには甘味料入りの缶コーヒー(もしくはペットボトル)を大量摂取することによる,ペットボトル症候群,さらには水中毒やメタボリック症候群の問題も懸念されている。
今回,1日60本の喫煙,および3リットルもの甘味料入りコーヒー飲料の摂取により,糖尿病を併発した極度のニコチンおよびカフェイン依存を呈した慢性期統合失調症患者症例を経験した。その症例において主剤をFGAのハロペリドールからNS-SGAのブロナンセリンに変更したところ,カフェインおよびニコチン依存に対しても著明な改善が認められたため,ここに報告する。なお症例の報告においては,症例の特徴を損なわない程度に,個人情報が特定できないよう配慮した。
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