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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻2号

2013年02月発行

文献概要

短報

TRH療法により高圧酸素療法が可能となり改善を得た間歇型一酸化炭素中毒の1例

著者: 大盛航1 豊田麻里1 増田正幸1 板垣圭1 柴崎千代12 中津啓吾1 小早川英夫1 竹林実12

所属機関: 1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科 2国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部・精神神経科学研究室

ページ範囲:P.145 - P.149

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抄録

 間歇型CO中毒は,高圧酸素療法(HBO)以外に確立した治療法はほとんどない。症例は40歳代男性。練炭自殺企図後に,他院でHBOを導入されたが,不穏のため中止となり,当科転院となった。間歇型CO中毒と診断しHBOを再導入したが,重度の認知症症状のため,中止せざるを得なかった。TRH療法を導入したところ,従命困難などの精神症状が改善し,HBO再開可能となり,最終的に病前の日常生活水準まで改善した。したがって,間歇型CO中毒に対して,HBO導入困難例にはTRH療法が有効な可能性があると考えられた。また,認知機能評価として画像検査以外にFABなどの前頭葉機能検査が有用であり,HBO施行回数の判断指標となった。

参考文献

1) 飯尾典子:TRHが奏効した間歇型CO中毒の1例.東京女子医科大学雑誌 53:460, 1983
2) 大竹哲也,木谷泰治,藤田達士:CO中毒に対するOHPとTRHの併用療法.日本高気圧環境医会誌 19:39-41, 1984
3) 志賀哲也,沓沢有希子,笠原諭,他:曝露10週後から高圧酸素療法とTRH療法を施行された不全間歇型一酸化炭素中毒の1例.精神科 13:525-530, 2008
4) 苧坂直博,林直樹,加藤智絵,他:Thyrotropin releasing hormoneが有効であった間歇型一酸化炭素中毒の1例.Jpn J Rehabil Med 49:S235, 2012
5) 坪井雅彦,大石清澄,本村政勝,他:Thyrotropin releasing hormone(TRH)が著効を呈した間歇型一酸化炭素中毒の1例.神経治療学 11:615-618, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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