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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻2号

2013年02月発行

文献概要

資料

児童思春期精神科に緊急入院した広汎性発達障害患者に関する臨床的検討

著者: 宮崎健祐1 近藤直司1 森野百合子1 田中哲1 市川宏伸1

所属機関: 1東京都立小児総合医療センター児童思春期精神科

ページ範囲:P.157 - P.165

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抄録

 緊急入院を要した広汎性発達障害(pervasive developmental disorder;PDD)の患者への治療や支援方法ついて明らかにすることを目的として,当科へ緊急入院した広汎性発達障害の患者の臨床的特徴と入院治療の方法論と有効性について検討した。その結果,高機能PDD患者では未診断のケースや不登校を来しているケースの割合が多かった。知的障害を合併するPDD患者では家族や施設職員などのケアする者の休息のため一時的にケアを代わりに行ういわゆるレスパイト的な入院や身体治療が必要なケースなどが存在することなどが明らかになった。これらのことから,PDDに対する早期からの気づきや支援の充実,身体治療科との連携,PDD患障害患者の急性期治療モデルの確立などが必要となってくると考えられた。

参考文献

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2) 市川宏伸:発達障害児者への医療ケアの実際と課題.市川宏伸監修:発達障害者支援の現状と未来図.中央法規,pp239-264, 2010
3) 菊地祐子,桜井優子,田中哲:東京都立小児総合医療センターにおけるリエゾン・コンサルテーションの現状(第2報).日本児童青年精神医学会総会抄録集52回:217, 2011
4) 近藤直司,小林真理子,宮沢久江:ひきこもりを伴う自閉症スペクトラム障害とメンタライゼーションに焦点をあてた精神療法.精神分析研究(印刷中)
5) 三上克央:自殺 精神科医として何ができるか―発達障害の自殺(解説/特集).精神科治療学25:199-205, 2010
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9) 岡田眞子:アスペルガー障害と特別支援教育:現状と課題.こころの臨床a-la-carte 25:222-227, 2006
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11) World Health Organization(1992):The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders:Clinical descriptions and diagnostic guidelines. WHO, Geneva, 1992(融道男,中根允文,小見山実,他監訳:ICD-10精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン,新訂版.医学書院,2005)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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