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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻3号

2013年03月発行

文献概要

特集 SST最近の進歩と広がり

教育現場におけるSST

著者: 佐藤容子1

所属機関: 1宮崎大学教育文化学部

ページ範囲:P.237 - P.243

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仲間関係の困難がもたらす問題

 仲間関係に困難を抱える児童は,そうでない児童に比べて,①非行・犯罪のリスクが高くなる,②感情障害が増加する,③学業成績が低くなる,④学校からのドロップアウト率が高くなる,⑤メンタルヘルスサービスのニーズが高くなるなどの問題を生じやすく2),このような仲間関係の困難が持続し,慢性化すると,不登校,引きこもり,精神科疾患,自殺など,さまざまな深刻な問題を引き起こすリスクが高まるといわれている。

 近年,わが国においても,学校現場では,いじめ,不登校,自殺などの深刻な問題が増加し,大きな社会問題となっている。そして,これらの問題の根底には,適切な人間関係を持つためのスキルが十分に身についていないこと,つまり,ソーシャルスキルの未熟さが共通して関係していると考えられる。

参考文献

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3) Elliott SN, Gresham FM:Social skills intervention guide:Practical strategies for social skills training. American Guidance, Minesota, 1991
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12) 戸ヶ崎泰子,外所佐知子,井上雅俊,他:小学校における学級規模の社会的スキル訓練(1)日本行動療法学会第31回大会発表論文集.pp232-233, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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