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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻3号

2013年03月発行

文献概要

研究と報告

保育記録による発達尺度改訂版(NDSC-R)の開発―信頼性および妥当性の比較

著者: 伊藤大幸1 田中善大23 高柳伸哉1 望月直人1 染木史緒1 野田航1 大嶽さと子1 中島俊思1 原田新4 辻井正次3

所属機関: 1浜松医科大学子どものこころの発達研究センター 2日本予防医学協会 3中京大学現代社会学部 4浜松医科大学医学部児童青年期精神医学講座

ページ範囲:P.263 - P.272

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抄録

 本研究は,適応行動の発達と不適応行動の出現を包括的に評価する保育士評定形式の尺度である「保育記録による発達尺度」(NDSC)について,項目数の縮小,尺度構成のバランス化,一部下位尺度の信頼性・妥当性の改善を目的として,改訂版(NDSC-R)を開発し,その信頼性・妥当性を検討した。外在基準との関連,主成分分析結果に基づき,尺度構成を再検討し,165項目から94項目への短縮を行った。内的整合性を示すα係数は,項目を削減した尺度では.90前後の値を維持し,項目を追加した尺度では原版より改善がみられ,全学年で.70以上の値を示した。外在基準であるSDQやADHD-RSとも原版と同等か,それ以上の相関が示され,基準関連妥当性が確認された。

参考文献

1) Dupaul G, Power TJ, Anastopoulos AD:ADHD rating scale-IV:Checklists, norms, and clinical interpretation. Guilford Press. New York, 1996(診断・対応のためのADHD評価スケールADHD-RS:DSM準拠:チェックリスト,標準値とその臨床的解釈.市川宏伸・田中康夫,監修・坂本 律,訳.明石書店,2008)
2) Goodman R:The Strengths and Difficulties Questionnaire:A Research Note. J Child Psychol Psychiatry 38:581-586.1997
3) 伊藤大幸,望月直人,中島俊思,他:保育記録による発達尺度(NDSC)の構成概念妥当性:尺度構造の検討と月齢および不適応行動との関連.発達心理学研究.印刷中
4) 厚生労働省:保育所保育指針解説書.フレーベル館,2008
5) 厚生労働省:軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル.文部科学省.2008〈http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken07/〉(2012年10月19日2時15分閲覧)
6) 文部科学省:今後の特別支援教育の在り方について(最終報告).文部科学省.2003〈http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301i.htm〉(2012年10月19日2時15分閲覧)
7) 中島俊思,松岡弥玲,谷伊織,他:保育記録による発達尺度の作成とその項目分析および信頼性の検討.小児の精神と神経50:385-398, 2010
8) 中島俊思,伊藤大幸,谷伊織,他:日本語版Strengths and Difficulties Questionnaireの構成概念妥当性の検証:1郊外市の全数コホートデータを用いた検討.臨床精神医学41:917-924, 2012
9) Ohnishi M, Okada R, Tani I, et al:Japanese version of school form of the ADHD-RS:An evaluation of its reliability and validity. Res Dev Disabil 31:1305-1312, 2010
10) Tani I, Okada R, Ohnishi M, et al:Japanese version of home form of the ADHD-RS:An evaluation of its reliability and validity. Res Dev Disabil 31:1426-1433, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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