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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻4号

2013年04月発行

文献概要

短報

MirtazapineとDuloxetineの併用療法がパニック障害と坐骨神経痛に奏効し抗がん剤治療が再開できた1例

著者: 山下智子1 長濱道治1 和氣玲1 宮岡剛1 堀口淳1

所属機関: 1島根大学医学部精神医学講座

ページ範囲:P.363 - P.366

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抄録

 近年,さまざまな作用機序を有する抗うつ薬が発売されており,薬剤選択の幅が広がっている。パニック障害に適応のある薬剤は主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors;SSRI)であるが,SSRIの消化器症状などによって投与できない場合など,臨床現場では適応外使用薬剤の投与もしばしば必要となる。今回,我々はmirtazapineとduloxetineの併用療法がパニック障害と坐骨神経痛とに奏効し,抗がん剤治療が再開できた1例を経験したので,貴重な症例と考え報告する。

参考文献

1) American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. 4th ed, Text Revision ed. 2000(高橋三郎,大野裕,染矢俊幸訳:DSM-●-TR精神疾患の分類と診断の手引き,新訂版,医学書院,2003)
2) 岩崎真三:Mirtazapine(NaSSA)とduloxetine(SNRI)の増強療法が遷延化した顕著なうつ状態に奏効した老年期うつ病性障害の1例.精神科治療学 27:233-239, 2012
3) Iyengar S, Webster AA, Hemrick-Luecke SK, et al:Efficacy of duloxetine, a potent and balanced serotonin-norepinephrine reuptake inhibitor in persistent pain models in rats. J Pharmacol Exp Ther 311:576-584, 2004
4) 河野公範,宮岡剛,堀口淳:ミルタザピンとデュロキセチンの併用により寛解に至ったうつ病の一例.最新医学 66:2742-2743, 2011
5) 熊野宏昭,久保木富房,貝谷久宣編:パニック障害ハンドブック―治療ガイドラインと診療の実際.医学書院,2008
6) 村崎光邦編:ミルタザピンブック―NaSSA.星和書店,2009
7) 村崎光邦:Duloxetine登場.臨床精神薬理 13:435-462, 2010
8) 高橋正史,並木千尋,岡本美智子:糖尿病性神経障害に伴う疼痛に対するデュロキセチンの治療―作用機序とガイドライン.Therapeutic Research 33:695-702, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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