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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻4号

2013年04月発行

文献概要

資料

双極性障害に関するインターネットによる認知度調査

著者: 片桐秀晃1 中根允文23

所属機関: 1日本イーライリリー株式会社研究開発本部医学科学部精神・神経疾患治療領域 2出島診療所 3長崎大学

ページ範囲:P.375 - P.382

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抄録

 双極性障害(躁うつ病)について,日本における一般住民の認知度,疾患に対するイメージ,および社会的距離について,また双極性障害の具体的な症例を各病相で提示し,各病相に対する認識についてインターネットを利用して調査した。「双極性障害」については72.8%が「聞いたことがない,知らない」と回答し,双極性障害の疾患としての認知度が低いことが示唆された。さらに社会的に否定的な態度やイメージを持たれている現状が示されるとともに,躁状態はうつ状態に比較し,病気として認識されにくい傾向が認められた。双極性障害が適切に診断・治療され,長期的な転帰を改善するためには,当事者や関係者だけでなく,広く一般住民における疾患の認知(適切な病相の認識)と理解が必要であると考えられた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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