icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻6号

2013年06月発行

文献概要

研究と報告

乳がん患者の心理状態および適応における病理外来の有効性に関する研究

著者: 永嶋美幸1 谷山清己2 南花枝1 竹林実12

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科 2独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部

ページ範囲:P.523 - P.529

文献購入ページに移動
抄録

 根治的手術療法を受けた乳がん患者を対象に,病理外来の受診が患者の心理状態や態度に及ぼす短期的な影響を検討するために,病理外来前後で質問紙調査と面接調査を実施した。病理外来受診群は,治療意欲の高まりや安心感の獲得がなされた可能性があること,HADSが示す状態としての不安が軽減する傾向があることなどから,病理外来は短期的に不安を軽減させる可能性があることが示唆された。一方,MACのAnxious Preoccupation得点は,病理外来前後ともに受診群のほうが,非受診群よりも有意に高かった。したがって,受診群は不安に対して医学的情報を収集したり,健康に良い行動を取り入れるなどして不安を解消する特性があることが可能性として考えられ,医学情報や情緒面の適切なサポートが必要と考えられた。

参考文献

1) Akechi T, Okuyama T, Imoto S, et al:Biomedical and psychosocial determinants of psychiatric morbidity among postoperative ambulatory breast cancer patients. Breast Cancer Res Treat. 65:195-202, 2001
2) Davidson R, Geoghegan L, McLaughlin L, et al:Psychological characteristics of cancer patients who use complementary therapies. Psychooncology 14:187-195, 2005
3) Fujimori M, Parker PA, Akechi T, et al:Japanese cancer patients' communication style preferences when receiving bad news. Psychooncology 16:617-625, 2007
4) Matsuoka Y, Nakano T, Inagaki M, et al:Cancer-related intrusive thoughts as an indicator of poor psychological adjustment at 3 or more years after breast surgery:A preliminary study. Breast Cancer Res Treat 76:117-124, 2002
5) 西巻美幸,谷山清己,兒玉憲一,他:乳がん患者に対する病理インフォームド・コンセントの心理状態および適応への影響.広島医学 63:151-155, 2010
6) 鈴木淳子:調査的面接の技法.ナカニシヤ出版,2002
7) 谷山清己:病理外来の実践.モダンメディア別冊 52:241-244, 2006
8) 谷山清己:病理外来が目指すところ.病理と臨床 25:1060-1061, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら