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文献詳細

雑誌文献

精神医学55巻6号

2013年06月発行

文献概要

短報

アルツハイマー病の異食行為にblonanserinが著効した1例

著者: 大川愼吾1 大植正俊1

所属機関: 1大植病院精神科

ページ範囲:P.565 - P.568

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はじめに

 認知症性疾患ではさまざまなBPSD(behavioural psychological symptoms of dementia,認知症の行動心理学的症状)が現れる。それらの中で異食行為(異食)1)は,介護者だけでなく,本人にも重大な悪影響を及ぼし,毒物の摂取はただちに生命の危険をもたらす。また,介護施設の認知症入所者が異食により窒息死したことで訴訟事例も起きている。このため,異食は医学的にも介護の上でも非常に重要な症状であるが,確実な予防法がない。我々は,非定型抗精神病薬blonanserin(BNS)の投与により異食が消失した高度アルツハイマー病の症例を経験した。BPSDに対し本薬の有効性を示す報告は散見されるが7),異食についてのものはなく,自験例を提示し考察を加えた。

参考文献

1) 日野博昭,小阪憲司:痴呆性老人の異食とoral tendency.老年精神医学雑誌 10:1398-1403, 1999
2) 笠貫浩史,安宅勇人,馬場元,他:自閉性障害に伴う異食行為に対してfluvoxamineが著効した1例.精神医学 53:39-41, 2011
3) 村崎光邦:Blonanserinの薬理学的特徴と臨床的位置付け.臨床精神薬理 11:461-476, 2008
4) 奥田正英,原田浩美,水谷浩明,他:痴呆患者の異食について.精神医学 40:1103-1105, 1998
5) 采輝昭,久留宮聰:Blonanserinの薬理学的特徴.臨床精神薬理 10:1263-1272, 2007
6) 仙波純一:薬物の副作用による衝動制御の障害.精神科治療学 27:771-777, 2012
7) 品川俊一郎,中山和彦:他剤での治療が困難であったBPSDに対し,blonanserinが有効であった2例.精神医学 52:823-825, 2010
8) 鈴木利人,仲條龍太郎,小久保和哉,他:急性期治療でのブロナンセリンの可能性.Pharma Medica 30:209-216, 2012
9) 堤祐一郎,春日雄一郎,伊坂洋子,他:急性期統合失調症入院患者70例に対するblonanserin(BNS)の治療有用性.臨床精神薬理 14:1523-1540, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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