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短報
T4/T3甲状腺ホルモン補充療法が有効と考えられた双極性うつ病の1例
著者: 片岡努13 板垣圭1 柴崎千代12 中津啓吾1 小早川英夫1 竹林実12
所属機関: 1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科 2国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部精神神経科学研究室 3広島大学大学院医歯薬学総合研究科創生医科学専攻先進医療開発科学講座
ページ範囲:P.667 - P.671
文献購入ページに移動双極性障害に対する甲状腺ホルモン補充療法の具体的な使用に関する報告は少ない。20歳代の女性で,精神病症状を伴う急速交代型の双極性障害および軽度甲状腺機能低下症を合併していたうつ状態に対して,T4/T3併用による甲状腺機能補充療法を行った。甲状腺ホルモンが高値になるにつれ,うつ状態も改善を認めた。治療中剤形の理由からT4単独に切り替えたが,すぐに病状は再燃し,再度T4/T3併用にしたところ,比較的短期間で病状の改善を認めた。甲状腺機能低下症を合併し,リチウム使用が困難な症例では,甲状腺ホルモン補充療法も選択肢に挙がると考えられた。今後の検討が必要であるがT4単独よりもT4/T3併用療法が有効である可能性が示唆された。
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