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「精神医学」への手紙
ECT死亡例は発作により異型狭心症を毎回生じていた可能性―修正型電気けいれん療法施行後に心室頻拍を呈し回復が困難だった1例(本誌55:33-35,2013)の発作時モニター記録に基づく検討
著者: 上田諭1 鈴木一正2
所属機関: 1日本医科大学精神医学教室 2松田会エバーグリーン病院
ページ範囲:P.673 - P.676
文献購入ページに移動論文には,術前評価,麻酔手技,蘇生処置の内容は不足なく書かれていたが,残念ながらECTの結果を論じるのに決定的に重要なものが記載されていなかった。毎回の発作刺激用量,発作波の形状(高振幅棘徐波と発作後抑制の有無)である。さらに,致死的不整脈の発生を考えれば,通電前後と通電中の心電図の検討も当然必要である。これらなしに治療効果や副作用の検討はできない。この点の浸透が国内でいまだ進んでいないことは,ECT臨床における重大な問題である。これらはいずれもパルス波治療器(Thymatron System Ⅳ)の発作時モニター紙に記録されている。そこで筆者らは著者からこれらの提供を受け,著者の了解の下でその検討を行った。3回目不発時以降の刺激用量の弱さ(上げ幅の少なさ),5回目以降の発作波がやや不十分ないし不十分(表)という問題点が見出されたが,これらはVTに直接関連しないと思われた。一方,発作中から発作後の心電図モニター波形には,より詳細に検討したほうがよいと思われる個所があった。
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