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連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ
神経衰弱neurasthenia―森田の視点を含めて
著者: 北西憲二1
所属機関: 1森田療法研究所/北西クリニック
ページ範囲:P.896 - P.898
文献購入ページに移動はじめに
日本の医学あるいは精神医学の歴史において,神経衰弱という用語や概念が論じられるようになったのは,日本に西欧の医学が導入された明治時代以降である。近代化とともに始まった日本の精神医学の揺籃期には,神経症性障害の概念は神経衰弱の検討から始まった。本稿では,神経衰弱の西欧と日本における変遷を紹介し,それが現在の日本の精神医学の臨床でどのような診断的地位を占めているのか,その概念がどのように理解されているのか,その現代的意義などについて述べる。
日本の医学あるいは精神医学の歴史において,神経衰弱という用語や概念が論じられるようになったのは,日本に西欧の医学が導入された明治時代以降である。近代化とともに始まった日本の精神医学の揺籃期には,神経症性障害の概念は神経衰弱の検討から始まった。本稿では,神経衰弱の西欧と日本における変遷を紹介し,それが現在の日本の精神医学の臨床でどのような診断的地位を占めているのか,その概念がどのように理解されているのか,その現代的意義などについて述べる。
参考文献
1) Beard GM:Neurasthenia(nervous exhaustion)and morbid fears as a symptom of nervous disease. Boston Med Surg J ns 3:217-221, 1969
2) Beard GM:A practical tretise on nervous exhaustion(neurasthenia):Its symptoms, nature, sequences, treatment. 2nd and revised ed. William Wood & Company, New York, 1880
3) Ellenberger HF:The Discovery of the Unconscious. The history and Evolution of Dynamic Psychiatry. Basic Books Inc., New York, 1970(木村敏,中井久夫監訳:無意識の発見上 力動精神医学発達史.弘文堂,1980)
4) 加藤敏:職場結合性うつ病.金原出版,2013
5) 北西憲二:我執の病理―森田療法による「生きること」の探求.白揚社,2001
6) 森田正馬:神経質及神経衰弱症の療法.高良武久編集代表.森田正馬全集第1巻.白揚社pp239-508, 1921/1974
7) World Health Organization:The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders. Clinical descriptions and diagnostic guidelines. 1992(融道男,中根充文,小宮山実監訳:ICD-10精神及び行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン.医学書院,1993)
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