icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学56巻11号

2014年11月発行

文献概要

私のカルテから

問題行動を繰り返し院内自殺した神経性大食症の1症例

著者: 内海雄思1 中村徹1 安宅勇人1 馬場元1 鈴木利人1 新井平伊12

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院 2順天堂大学医学部附属順天堂醫院

ページ範囲:P.981 - P.983

文献購入ページに移動
はじめに
 神経性食欲不振症(anorexia nervosa;AN)と神経性大食症(bulimia nervosa;BN)に代表される摂食障害は,多くは思春期・青年期に発症する。その後,軽快と再燃とを繰り返しながら経過するが,10〜20%が十年以上を経過し慢性化し1,4),体重低下などの身体的問題や自殺などにより死の転帰をとることもある9)。今回我々は特徴的な問題行動を繰り返し,院内で縊首により自殺既遂したBNの女性症例について報告する。なお症例の報告においては,症例の特徴を損なわない程度に,個人情報が特定できないよう配慮した。

参考文献

1) Keel PK, Brown TA:Update on course and outcome in eating disorders. Int J Eat Disord 43:195-204, 2010
2) Lacy JH, Evans DH:The Impulsivist:A multi-impulsive personality disorder. Br J Addict 81:641-649, 1986
3) Preti A, Rocci MBL, Sisti D, et al:A comprehensive meta-analysis of risk of suicide in eating disorders. Acta Psychiatr Scand 124:6-17, 2011
4) Steinhausen HC:The outcome of anorexia nervosa in the 20th century. Am J Psychiatry 159:1284-1293, 2002
5) 高木洲一郎,横田麻里,女屋光基,他:救命救急センターで経験された摂食障害の事故例の検討.精神医学35:1265-1271, 1993
6) 高木洲一郎,大森美湖,浜中禎子,他:摂食障害の万引きを巡って—現状と問題点.臨床精神医学37:1421-1427, 2008
7) 竹村道夫:摂食障害と窃盗癖.臨床精神医学42:567-572, 2013
8) 馬場謙一,穂積登,前川あさ美:神経性摂食障害にみられる盗みの心理.厚生省特定疾患・神経性食思不振症調査研究班昭和62年度研究報告書.pp167-169, 1988
9) 和田良久:摂食障害の長期予後・死亡と自殺・摂食障害からの回復.精神科治療学27:1287-1291, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?