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短報
躁病相で錐体外路症状が軽減した双極性障害患者の1例
著者: 山本暢朋1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構榊原病院精神科
ページ範囲:P.1041 - P.1044
文献購入ページに移動はじめに
第2世代抗精神病薬の使用が標準的となった現在においても,遅発性ジストニア(tardive dystonia:TDt)などの遅発性錐体外路症状が完全に見られなくなったわけではない。これらは,効果的な治療手段が乏しいこともあり,一度出現すれば対応に苦慮する場合も多い。今回,双極性障害患者に対して第2世代抗精神病薬を用いたところ,TDtを含む錐体外路症状(extrapyramidal symptom:EPS)が躁病相で軽減する症例を経験した。気分障害圏の患者に対し,第2世代抗精神病薬の適応が拡大されつつある現在において,このような症例を提示することは意義のあるものと考えられるため,若干の文献的考察を加えて,これを報告したい。
第2世代抗精神病薬の使用が標準的となった現在においても,遅発性ジストニア(tardive dystonia:TDt)などの遅発性錐体外路症状が完全に見られなくなったわけではない。これらは,効果的な治療手段が乏しいこともあり,一度出現すれば対応に苦慮する場合も多い。今回,双極性障害患者に対して第2世代抗精神病薬を用いたところ,TDtを含む錐体外路症状(extrapyramidal symptom:EPS)が躁病相で軽減する症例を経験した。気分障害圏の患者に対し,第2世代抗精神病薬の適応が拡大されつつある現在において,このような症例を提示することは意義のあるものと考えられるため,若干の文献的考察を加えて,これを報告したい。
参考文献
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