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文献詳細

雑誌文献

精神医学56巻2号

2014年02月発行

文献概要

短報

東日本大震災後に内因反応性気分変調症を生じた1例

著者: 佐藤晋爾1 朝田隆1 土井永史2

所属機関: 1筑波大学臨床医学系精神医学 2茨城県立こころの医療センター

ページ範囲:P.157 - P.159

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抄録

 うつ病臨床の混乱の原因の1つに,内因概念の放棄が挙げられていることが指摘されている。一方,確かに内因性とも反応性とも区別しがたいうつ状態が存在する。しかし,内因/非内因概念を容易に捨て去っては,診断,ひいては治療が貧困なものとなるだろう。Weitbrechtは内因と反応の混交したうつ状態を1つの症候群,内因反応性気分変調症として抽出した。本稿では地震後に内因反応性気分変調症を発症したと考えられる1例を提示し,内因や反応因概念の復権が臨床的に意義を持つ可能性を示した。

参考文献

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2) Jaspers K:Allgemeine Psychopathologie. Springer-Verlag, Berlin, 1913(西丸四方訳:精神病理学原論.みすず書房,1971)
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4) 佐藤晋爾,朝田隆,土井永史:東日本大震災被災者への精神科的対応についての私見―根こぎうつ病に注目を.精神医学53:922, 2011
5) Schneider K:Klinische Psychopathologie. Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 2006(針間博彦訳:新版臨床精神病理学.文光堂,2007)
6) Tellenbach H:Melancholie. Springr-Verlag, Berlin, 1983(木村敏訳:メランコリー.みすず書房,1985)
7) Weitbrecht HJ:Zur Typologie depressiver Psychosen. Fortschr Neurol 20:247-269, 1952
8) Weitbrecht HJ:Offene Probleme bei affektiven Psychosen. Nervenarzt 24:187-191, 1953(伊東昇訳:情動精神病にみる未決定の諸問題,pp149-160松下正明,影山任佐編集:現代精神医学の礎Ⅳ.気分障害・非定型精神病 児童精神医学 精神科治療 社会精神医学・司法精神医学.時空出版,2010)
9) Weitbrecht HJ:Psychiatrie im Grundriss. Springer-Verlauf, Berlin, Heidelberg, New York, 1973(切替辰哉訳:臨床精神医学.医学書院,1974)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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