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文献詳細

雑誌文献

精神医学56巻2号

2014年02月発行

文献概要

書評

日本統合失調症学会 監修 福田正人,糸川昌成,村井俊哉,笠井清登 編―統合失調症

著者: 大森哲郎1

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部精神医学分野

ページ範囲:P.179 - P.179

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 統合失調症学会が総力を結集して作成した全75章700ページを超える浩瀚な全書である。多士済々の執筆者が専門領域を記述する文章は平易明解で精彩に富んでいる。

 全書的な教科書でありながら,いくつもの点で新しい。統合失調症はもはや遺伝的に発症不可避でもなければ,心理的に了解不能でもなく,病的過程が進行する疾患でもない。それは発達の過程で素因と環境が応答しつつ形成され,前駆期での介入が発症を阻止する可能性があり,未治療期間が短縮されれば病態の進行は抑えられ,初発エピソードをうまく乗り切れば安定期に至り,経過は治療介入と生活環境の影響を受けていかようにも可変的である,そのような疾患なのである。諸条件によっては未病に終始する可能性を考えれば,非疾患との境界は連続的ともなる。もはやかつての精神分裂病ではない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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