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雑誌目次

雑誌文献

精神医学56巻3号

2014年03月発行

雑誌目次

巻頭言

謙虚であれ! 誠実であれ!

著者: 原田憲一

ページ範囲:P.188 - P.189

 昨年5月,DSM-5が刊行されたすぐあとの7月,英国の精神医学雑誌に出たAllen J. Francesの論説2)に私は目を剝いた。それは「ICD-11はDSM-5の間違いを繰り返すな」と題されていた。彼は周知のように,R.I. SpizerのもとでDSM-Ⅲをつくり,DSM-Ⅳの時のチェアマンだった人である。DSMのこれまでの展開に中心的役割を果たしてきたこの人の上記の言である。彼の勇気に背を押されてこの巻頭言を書く。

展望

レビー小体型認知症に対する薬物療法

著者: 小阪憲司 ,   池田学

ページ範囲:P.191 - P.197

はじめに

 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)は,比較的新しい疾患概念であり,1995年にイギリスで開催された第1回国際ワークショップでDLBという名称が提唱され,その臨床および病理診断基準が1996年に報告され27),臨床診断が可能になった。

 DLBの基礎となったのは,小阪らが1976年17)以来の報告を基に1984年に提唱したびまん性レビー小体病diffuse Lewy body disease(DLBD)である18)。このDLBDの臨床像の特徴は進行性の認知症とパーキンソン症状であり,病理学的特徴は大脳皮質・扁桃体・マイネルト基底核・脳幹諸核を含む中枢神経系や自律神経系に広範に多数のレビー小体とレビー神経突起(両者を合わせてレビー病理Lewy pathologyとよぶ)が出現することであるが,しばしば種々の程度のアルツハイマー病変を伴う。小阪は1990年に日本での剖検例報告をレビューして,DLBDを種々の程度のアルツハイマー病変を合併する通常型common formとそれを伴わない純粋型pure formに分類し,両者では発病年齢も臨床像も異なることを強調した19)。すなわち,通常型では初老期や老年期に発病することが多く,認知機能の障害が主体であるが,しばしばパーキンソン症状が加わる。一方,純粋型では65歳以下の発症が多く,パーキンソン症状で初発し,後に認知症を伴うことが多い。

 1996年のガイドライン27)については,specificityは高いがsensitivityが低いことが示され,2003年に第3回国際ワークショップが開催され,その結果が2005年にCDLBガイドライン改訂版29)として報告された。その臨床特徴は,進行性の認知症,認知機能の変動,具体的な内容の幻視とそれに基づく妄想,特発性のパーキンソン症状,REM睡眠行動障害(RBD),抗精神病薬への過敏性,自律神経症状,抑うつなどである。一方,病理学的には,レビー病理の出現様式により新皮質型,辺縁型または移行型,脳幹型に分類された。

 最近では,認知症を伴うパーキンソン病(PDD)とDLBとは基本的には同じであると考えられるようになったが,小阪らは1980年にレビー小体病Lewy body diseaseを提唱し,パーキンソン病(PD)やPDD,DLBDを含めてLewy body diseaseと呼ぶことを主張してきた19)。この考えは最近になって国際的に承認されるようになった25,29)

 DLBはアルツハイマー型認知症(Alzheimer-type dementia;ATD)に次いで2番目に多い認知症であり,高齢の認知症患者の10数%から20数%を占める比較的ありふれた認知症である29)。しかし,ゲートキーパーであるかかりつけ医のみならず専門医の間でも,まだ十分知られていないのが現状であり,誤診されていることが多く,初期に診断して早期に治療・介入することが重要である20)

 現時点では,DLBの脳病変の進展過程そのものに修飾を加えるような根本的治療法(disease-modifying therapy)は存在しない。また,世界的にもPDDに対するリバスチグミンに保険適用が認められている国があるだけで,DLBに保険適用が認められた治療法はない。治療の対象となるのは認知機能障害,行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD),錐体外路症状,睡眠障害を含む自律神経症状であるが,これらの中で1つの症状を改善させる治療は他の症状を悪化させることがあり,治療には豊富な経験と専門的な知識を要する。本稿では,薬物療法について最近の総説5,39)やガイドライン35)を参考にまとめてみたい。

研究と報告

中高年男性うつ病患者における自殺のリスク要因―心理学的剖検を用いた症例対照研究による予備的検討

著者: 勝又陽太郎 ,   赤澤正人 ,   松本俊彦 ,   小高真美 ,   亀山晶子 ,   白川教人 ,   五十嵐良雄 ,   尾崎茂 ,   深間内文彦 ,   榎本稔 ,   飯島優子 ,   竹島正

ページ範囲:P.199 - P.208

抄録

 うつ病は自殺既遂の重要な危険因子とされているが,これまでのところうつ病で精神科外来治療を受けている中高年男性を対象とした研究は見当たらない。そこで本研究では,精神科外来受診歴を持つ中高年男性うつ病患者の自殺のリスク要因について,心理学的剖検を用いた症例対照研究のデザインで検討を行った。

 本研究の結果,事例群に比べて対照群において休職歴を持つ者の割合や精神科治療を受けるにあたって自立支援医療(精神通院医療)を利用している者の割合が有意に高いという結果が得られた。本研究は予備的な検討にとどまるものの,うつ病という重大な自殺の危険因子を抱えながら精神科に受診している中高年男性の場合には,休職や自立支援医療の利用といった環境調整の手続きを丁寧に行うプロセス自体が,恥やプライドを含む男性特有の防衛的構えを和らげ,本人の治療への動機付けを高め,結果的に自殺予防につながる可能性が推測された。

短報

ADHD治療薬の再チャレンジ

著者: 田宮聡 ,   岡田由香 ,   小寺澤敬子 ,   宮田広善

ページ範囲:P.209 - P.212

抄録

 注意欠如/多動性障害に対してアトモキセチンによる薬物療法を行った症例で,服薬中断前後で異なる反応が得られた2例を提示した。服薬中断の期間は10~11か月であった。2例中1例は,最初の服薬時には無効と判断されたが,服薬再開時は効果がみられた。残りの1例では,最初の服薬時には副作用のために服薬継続できなかったのに対し,服薬再開時には副作用は問題とならなかった。こうした薬物への反応の違いを,成長に伴う中枢神経系の変化という発達的視点から考察した。臨床的には,一度試みて期待した反応が得られなかった場合でも,中断期間をはさんで再度試みることにより異なる反応が得られる可能性を示唆した。

資料

否定的個人評価を測定する尺度Evaluative Beliefs Scale日本語版の開発

著者: 古村健 ,   高野慶輔 ,   石垣琢麿

ページ範囲:P.213 - P.219

抄録

 否定的個人評価を測定する自記式質問紙Evaluative Beliefs Scaleの日本語版(JEBS)を開発した。探索的因子分析の結果は2因子構造を示したが,原版に従い評価の方向性によって第1因子を「自己→自己」評価と「他者→自己」評価に分け,第2因子を「自己→他者」評価と名付けた。これら3つの下位尺度の内的整合性と再検査信頼性は十分に高い値を示した。共分散構造分析を用いて,否定的「他者→自己」評価が否定的「自己→自己」評価と否定的「自己→他者」評価を強めるという仮説が支持された。さらに,否定的「自己→自己」評価は不安・抑うつと,否定的「自己→他者」評価は怒りと有意な相関を示した。

かかりつけ医におけるうつ治療の現状に関する調査

著者: 辻本哲士 ,   山田尚登

ページ範囲:P.221 - P.228

抄録

 滋賀県内の医師会・地域保健機関が協力して,かかりつけ医など一般科におけるうつ病相談・治療の現状,専門医療機関との連携の状況について調査を行った。調査用紙を1,261人に郵送配布し,687人から回答を得た(回収率54.5%)。産業医の資格を持つ,うつ病の講習を受けている,精神科病院・診療所と連携がある,相談できる精神科がいるかかりつけ医は,うつ病・うつ状態の診断をしている傾向にあった。大多数の医師は少数のうつ病患者を診断して専門医を紹介するという対応をすることが多かった。一般科と精神科の連携については,「予約が混雑している」,「一般診療科医師と精神科医の顔を知った関係が必要」の回答が多かった。かかりつけ医の対するうつ病に関する啓発・研修,日常診療におけるうつ病患者の存在への関心,一般科と精神科の連携について適切な診察予約制度,タイムリーな紹介システム,顔を知った関係作りが重要である。

日本人におけるノルアドレナリントランスポーター遺伝子多型と人格特性の関連研究

著者: 成田心 ,   岩橋和彦 ,   永堀健太 ,   沼尻真貴 ,   吉原英児 ,   大谷伸代 ,   石郷岡純

ページ範囲:P.229 - P.235

抄録

 抗うつ薬の一種であるセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は,そのターゲット部位の1つであるノルアドレナリントランスポーター(NET)に作用し精神症状を安定させる効果がある。このことから,NETがパーソナリティに影響する可能性が考えられる。インフォームド・コンセントの得られた健常者201人のDNAを対象にNET遺伝子の2多型を判定し,対象者にNEO-FFIを実施して,NET遺伝子多型がパーソナリティに関与しているか検討した。-182T/C多型において,全体で開放性(O),男性で外向性(E)に有意差が認められた。さらに,1287G/A多型において,男性で神経症傾向(N)に有意差が認められた。よって,NET遺伝子多型がパーソナリティに関与している可能性が示唆された。

総合病院精神科外来を受診した成人期広汎性発達障害の後方視的検討

著者: 武井明 ,   泉将吾 ,   目良和彦 ,   佐藤譲 ,   原岡陽一 ,   平間千絵

ページ範囲:P.237 - P.244

抄録

 成人期広汎性発達障害(PDD)患者の実態を明らかにするために,2004年から2012年までの9年間に総合病院精神科を初診した20歳以上の成人期のPDD患者60名(男性34名,女性26名)を対象に,後方視的な検討を行った。その結果,初診患者総数に占める成人期PDD患者の割合は2010年度から高くなり,1.5%前後で推移していた。全体の48.4%が専門学校以上の最終学歴であった。診断分類では,特定不能のPDD(PDDNOS)の割合が46.7%と最も高かった。併存症状は81.7%に認められ,「ひきこもり」が最も多かった(30.6%)。就労状況は46.7%が無職であった。以上の結果から,PDD患者は社会に出ることで,それまで気付かれることのなった障害特性が顕在化することがあり,就労に際しての支援が不可欠であると考えられた。

ミニレビュー

日本におけるDSM-5診断基準による摂食障害の分類について

著者: 中井義勝 ,   任和子 ,   野間俊一 ,   浜垣誠司 ,   高木隆郎

ページ範囲:P.245 - P.253

はじめに

 DSM-Ⅳ精神疾患の診断・統計マニュアル(以下DSM-Ⅳ)1)は1994年に出版されたが,その後,20年近く経った現在では日常診療に合わない点が出てきた。そのため,改訂作業が数年前から進められ,改訂版のDSM-5が2013年5月に出版された2)

 Eating disorders(摂食障害,以下ED)については,コロンビア大学のWalsh博士を中心とするDSM-5 Task Forceが2006年に結成され,NIHの助成を得て討論会が持たれたが,筆者らは2009年開催の討論会に参加し,日本のデータを発表する機会を得た9)。その後もEating Disorder Research Society年次集会で行われた,摂食障害診断基準のDSM-5への改訂に関するシンポジウムに参加してきた。

 また,筆者らを受診した1,029例のED患者を対象にDSM-Ⅳ診断基準とDSM-5診断基準による病型分類の比較を行い,その結果をEuropean Eating Disorders Review7)に発表した。そこで,筆者の発表した論文をもとに同様の方法で検討したBirgegardらのヨーロッパの成績3)と比較した結果を報告する。

連載 「継往開来」操作的診断の中で見失われがちな,大切な疾病概念や症状の再評価シリーズ

てんかんに並存する精神病―本邦における歴史と新たな展望

著者: 兼本浩祐

ページ範囲:P.255 - P.257

「癲」の歴史―たおれ病から精神病,精神病から再びてんかんへ2)

 てんかんと精神病が言葉として混同されるようになったのは実は歴史的にはそれほど古いことではない。「癲」がてんかんを意味する医学用語として初めて登場したのは,紀元前200年の秦の始皇帝の時代に宮廷医によって編纂された中国最古の医学書である『黄帝内経太素』によるとされる。「癲」という文字はもともと転ぶことを意味する「顚」にやまいだれを付けたものであり,転ぶ病,つまりは“falling sickness”という意味が原義であったとされる。もともと日本ではてんかんは,いびきを意味する「くつち(鼾)」,「くつちふす(鼾臥す)」,「くつちかき」などと呼ばれていたが,中国医学の「癲」の伝来によって日本でもてんかんは「癲」と呼ばれることになった。7世紀初めの隋の煬帝の時代,『病源侯論』という書物に初めて「癇」という言葉が使われ,10歳以下の小児てんかんを「癇」,10歳以上の成人のてんかんを「癲」と呼ぶ現代でも通用しそうな合理的な命名法が生まれ,これを受けてわが国でも奈良時代以降,「癇」という言葉が導入されたといわれている。「癲」と「癇」が合わさって「癲癇」として用いられるようになったのは9世紀の唐で編纂された『千金方』以降とされ,室町時代以降には庶民の間でも「癲癇」という言葉が使われるようになった。

 中国では明代の16世紀前半以降,日本でもその影響をいち早く受け,安土桃山時代の16世紀後半から,「癲」と「狂」との同一視が始まったが,少なくとも日本での「癲」と「狂」の混同は,明代の代表的な医学書『医学正伝』の影響が大きかったとされる。江戸文政2年(1819年)に書かれた本邦で最初の精神医学書であるといわれる漢方医,土田獻の手になる『癲癇狂経験編』では,「癲」はその大部分が精神疾患を表しており,ごく一部にてんかんかと思われる記載が含まれるのみである5)。興味深いのは17世紀末,江戸の漢方医の間で巻き起こった論争で,当時名医として知られていた香川修庵が「癲癇」と「狂」が同じ原因で起こり病態の現れ方に違いがあるだけで両症が互いに並存すると主張し大方の漢方医がこれに賛同していたのに対して,岡本一抱は『黄帝内経太素』に遡り,「癲」を狂と同一視し,「癇」を日本古来の「くつち」と考えたのは後世の誤りで,「癲」と「癇」は同一の疾患でありこれは「くつち」であって,「癲」を狂と考えるのは後世の誤謬であると主張している。癲と狂とのこの同一視に由来する癲狂という言葉が使われなくなるのは,大正時代を待たねばならなかった。

東日本大震災・福島第一原発事故と精神科医の役割・14

大震災を機とした精神科医療の再興・新生

著者: 岡崎祐士

ページ範囲:P.259 - P.267

はじめに

 2011年3月11日午後,宮城県沖を震源とする大地震と津波は,東北・北関東の太平洋岸の多数の人々の命と生活の場を一瞬にして奪い,文字通り地域・職場・学園を壊滅させた。しかも,続く福島第一原発事故は,その範囲は今なお不透明であるが,その周辺に住む人々を追い出し,恐らく今後長年月にわたって,住民が戻れない住めない場と変貌させてしまった。

 被災のその日から悲しみの中で被災地の人々は再建のために立ち上がった。負傷した人々,服用していた治療薬を失った人々,生き延びたが孤立し寒さと飢えと愛する人々を失った悲しみの中で心身を損なった人々の,緊急の医療援助が求められた。精神科医療への要請が被災のこれほど早期から求められたことは,かつてなかった。東日本大震災は,従来の地震被害にみられた揺れによる建物の倒壊や火災による死傷被害よりも津波による被害が圧倒的に多かった。津波は町を根こそぎ呑み込み,巻き込まれた人々の命を奪った。一瞬の判断の違いが人生を変えてしまったという体験を持つ方々も多く,助かってもその運命のいたずらに納得できない被災者も多いという特徴があった。こころのケアが早期から求められた理由の1つであろうと思われる。

 この事態に精神科医療はいかに応えたのであろうか。結論から言えば,阪神淡路,中越の震災の経験を活かして,東北・北関東の被災地の人々の要請に応ええたと言えるであろう。あるいは,応えるべく変わらなければならなかった。その中で,精神科医療の新しい形や機能を生み出したところもある。しかし,それらが旧精神科医療の場の変化につながったかと問われれば,容易ではなかったと言わざるを得ないであろう。その意味では,東日本大震災(以下,大震災)と福島第一原発事故は,われわれの医療のあり方を問い,生活と保健・医療が一体となった支援を求め,何がしかの新しい形を残し,また旧精神科医療の場における課題を提起したと言えよう。本来の精神科医療の再興と新生を芽吹かせたと言えるかもしれない。

動き

精神医学研究の新潮流Computational Psychiatry 2013

著者: 山下祐一

ページ範囲:P.270 - P.271

 2013年10月22,23日,マイアミ(米国)で行われたComputational Psychiatry 2013に参加する機会を得た。本会議はComputational Psychiatry(計算論的精神医学)と銘打った世界最初の国際会議である。研究分野としてはまだ若いが,米国国立精神衛生研究所(NIMH)が提案するResearch Domain Criteria(RDoC)といった精神医学研究の新しい潮流とも密接に関係する重要なトピックであると考えられるため,現地で体感したその動向を報告したい。

 計算論的精神医学という言葉は多くの精神科医にとって,耳慣れないと思われる。まず,計算論的精神医学とはどういう研究分野なのかについて簡単に説明したい。脳が外界といかに相互作用し情報を処理しているのか,という情報処理機構としての脳・神経システムの計算原理を探求する研究手法を計算論的アプローチという。計算論的精神医学とは,この手法を精神医学研究に積極的に応用しようという試みであり,近年その重要性の認識が非常に高まりつつある2~4)

学会告知板

UBOM(簡易客観的精神指標検査)技術講習会・2014

ページ範囲:P.269 - P.269

 臺 弘先生(元 東大教授,現 坂本医院)の提唱による簡易客観的精神指標検査(Utena’s Brief Objective Measures:UBOMと略称)は,精神活動を情報受容・意思・行動・観念表象という機能の視点から,簡易かつ客観的に評価するための精神生理検査バッテリーです。これは,機能障害の視点を精神科臨床実地に取り入れ,症状評価と脳機能を結びつける役割を担うものです。UBOMは医療・福祉に従事する誰もが実施可能です。


主 催:NPO法人UBOM研究会

会 期:2014年8月23日(土)~8月24日(日)

会 場:コラッセふくしま 5階研修室(福島県福島市三河南町1-20)

千里ライフサイエンス技術講習会次世代シークエンサーを用いた遺伝子発現解析の実際

ページ範囲:P.271 - P.271

会期 2014年5月16日(金) 10:00~16:30

会場 千里ライフセンタービル 5階501・502・503号会議室

   (地下鉄御堂筋線千里中央駅北口すぐ)

論文公募のお知らせ

テーマ:「東日本大震災を誘因とした症例報告」

ページ範囲:P.212 - P.212

「精神医学」誌では,「東日本大震災を誘因とした症例報告」(例:統合失調症,感情障害,アルコール依存症の急性増悪など)を募集しております。先生方の経験された貴重なご経験をぜひとも論文にまとめ,ご報告ください。締め切りはございません。随時受け付けております。

ご論文は,「精神医学」誌編集委員の査読を受けていただいたうえで掲載となりますこと,ご了承ください。

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今月の書籍

ページ範囲:P.258 - P.258

次号予告

ページ範囲:P.272 - P.272

投稿規定

ページ範囲:P.273 - P.274

著作財産権譲渡同意書

ページ範囲:P.275 - P.275

編集後記

著者:

ページ範囲:P.276 - P.276

 毎号を通読して感じることですが,精神医学のすそ野の広がりが年々大きくなっています。本号も同様で,まず最近のトピックスと言ってよいレビー小体型認知症(DLB)に対する薬物療法に関する重厚な論文が掲載されています。アルツハイマー型認知症の治療薬の選択肢が増えたものの,DLBに保険適用のある薬剤は未だない状況のなかで,現時点で得られている科学的知見と今後の見通しを明確に示しています。自殺を扱った論文は本誌では一般的になりつつありますが,自殺という多様な側面を持つ事象を反映して当然その切り口は多彩とならざるを得ません。本号ではうつ病患者における自殺に対して心理学的剖検を用いた知見が紹介されています。うつ病に関しては滋賀県における「かかりつけ医」の現状に関して地域精神保健の観点から報告されています。続いてADHDの薬物療法に関する報告,成人の広汎性発達障害の受診状況に関する報告があり,児童精神医学に関連するものが2題掲載されており,このようなことは以前では考えられないことであったと思われます。その他にも多岐にわたる報告が掲載されています。

 すそ野の広がりとともに当然,精神科医は広範囲の知識や興味,あるいは対応を求められることになりますが,だからこそ常に精神医学の基本に戻り確認する作業を惜しむべきではないと思います。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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