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文献詳細

雑誌文献

精神医学56巻3号

2014年03月発行

文献概要

資料

かかりつけ医におけるうつ治療の現状に関する調査

著者: 辻本哲士1 山田尚登2

所属機関: 1滋賀県立精神保健福祉センター 2滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.221 - P.228

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抄録

 滋賀県内の医師会・地域保健機関が協力して,かかりつけ医など一般科におけるうつ病相談・治療の現状,専門医療機関との連携の状況について調査を行った。調査用紙を1,261人に郵送配布し,687人から回答を得た(回収率54.5%)。産業医の資格を持つ,うつ病の講習を受けている,精神科病院・診療所と連携がある,相談できる精神科がいるかかりつけ医は,うつ病・うつ状態の診断をしている傾向にあった。大多数の医師は少数のうつ病患者を診断して専門医を紹介するという対応をすることが多かった。一般科と精神科の連携については,「予約が混雑している」,「一般診療科医師と精神科医の顔を知った関係が必要」の回答が多かった。かかりつけ医の対するうつ病に関する啓発・研修,日常診療におけるうつ病患者の存在への関心,一般科と精神科の連携について適切な診察予約制度,タイムリーな紹介システム,顔を知った関係作りが重要である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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