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文献詳細

雑誌文献

精神医学56巻4号

2014年04月発行

文献概要

私のカルテから

心因性非てんかん性発作を呈し,抑肝散により薬剤整理がなされた軽度精神遅滞の1例

著者: 丸谷俊之12

所属機関: 1東京工業大学保健管理センター 2錦糸町クボタクリニック

ページ範囲:P.319 - P.322

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はじめに

 心因性非てんかん発作(psychogenic nonepileptic seizures;PNES)は,心理的要因からてんかん発作様の発作を生じるが,てんかんではなく,発作中の脳波異常もないものである。基本的に除外診断であり,発症から確定診断まで平均7年を要し,その間に本来不必要な薬剤が投与される問題がある4)。患者のIQには幅があるが,100未満から境界知能であることが多い3)

 本稿では,軽度精神遅滞で,複数の抗てんかん薬などを継続的に服用していたが,発症から11年後にPNESと確定診断し,最終的に抑肝散によって薬剤整理がなされた例を報告する。なお,公表については患者から同意を得ており,かつ匿名性の保持のため論旨に影響のない範囲で病歴の一部を改変している。

参考文献

1) Avbersek A, Sisodiya S:Does the primary literature provide support for clinical signs used to distinguish psychogenic nonepileptic seizures from epileptic seizures? J Neurol Neurosurg Psychiatry 81:719-725, 2010
2) De Caires S, Steenkamp V:Use of Yokukansan(TJ-54)in the treatment of neurological disorders:A review. Phytother Res 24:1265-1270, 2010
3) Kalogjera-Sackellares D, Sackellares JC:Intellectual and neuropsychological features of patients with psychogenic peudoseizures. Psychiatry Res 86:73-84, 1999
4) Reuber M, Fernández G, Bauer J, et al:Diagnostic delay in psychogenic nonepileptic seizures. Neurology 58:493-495, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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