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文献詳細

雑誌文献

精神医学56巻4号

2014年04月発行

「精神医学」への手紙

抑肝散服用患者にみられた白髪の黒髪化現象

著者: 上村直人1

所属機関: 1高知大学医学部神経精神科学教室

ページ範囲:P.330 - P.331

文献概要

 写真(図)の症例は,当科で治療中のレビー小体型認知症(軽度レベル)の80歳代の男性である。夜間の睡眠行動障害と,幻視があり2013年3月11日からツムラ抑肝散54を5gより開始し,同年4月から10gに増量した。家族が白髪の黒髪化に気付いたのは2013年6月頃である。その後さらに黒髪が目立ち,徐々に生え際にも黒髪が目立ってきたことに妻が驚き,主治医に報告されたため,2013年9月時点で継続服用中のこの方を撮影したものである。今回の撮影,および学術論文掲載・報告に関しては患者および妻に同意を得た。併存して服用している薬剤は高血圧,高脂血症,慢性胃炎,排尿障害治療のため,他医から処方されていた酸化マグネシウム,ラニチジン,アムロジピン,コハク酸ソリフェナジン,タムスロシンである。これらの薬剤は抑肝散開始前から処方され,ここ数年来変更はない。また本症例では眉毛も黒髪化している。

 堀口は塩酸ドネペジル服用患者で,白髪の黒髪化現象を報告している1)。また育毛や発毛促進の主成分としてアセチルコリン類似作用2)を持つものや,コリンエステラーゼ抵抗性薬剤3)が報告されている。

参考文献

1) 堀口淳:塩酸ドネペジル服用患者に診られる白髪の黒髪化現象.精神医学 51:696, 2009
2) 岩間勝広,小林邦久,早川一,他:Methl N-trimethyl-γ-aminobutyrate chlorideの皮膚浸透性とコリンエステラーゼ抵抗性について.日生理誌 28:54-58, 1966
3) 岩田圭司,山口和政,清水雅良,他:塩化カルプロニウムのウサギ耳介血流量に及ぼす影響.基礎と臨床 31:3217-3220, 1997
4) 鍋谷欣一:この漢方が効く―白髪・骨粗鬆症,補中益気湯.壮快:175,2012
5) ツムラ抑ヨク肝カン散サンエキス顆粒(医療用)医療用医薬品添付文書.株式会社ツムラ,2012
6) ツムラ抑ヨク肝カン散サンエキス顆粒(医療用)製品情報概要.株式会社ツムラ,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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